2019年7月 アーカイブ

2019年7月24日 21時50分15秒 (Wed)

徳之島のクロウサギ その2

徳之島のクロウサギ その2クロウサギに話をもどしましょう.ハブと同じようにクロウサギも奄美大島と徳之島にしか生息していないのです.しかも個体数が減少傾向で絶滅危惧種に指定されているだけに普通は出会うチャンスがほんとどありません.地元の人でもほとんど野生のクロウサギを見たことがないそうです.ハブに出くわした人はかなりいるみたいですが.ということで,出会えたらラッキーくらいに思ってスリリングな夜の林道ドライブに向かったのですが,なんと約2時間くらいの間にトータルで3回もクロウサギを見ることができました.

2019年7月21日 15時52分25秒 (Sun)

徳之島のクロウサギ その1

徳之島のクロウサギ  その1以前から行きたかった場所が徳之島.奄美大島はご存知かもしれませんがその近くにある徳之島はあまり知られていません.実はその徳之島に私の母方の祖父の生家があり,このゴールデンウイークに生まれて初めて徳之島に行ってきました.その家は近いうちに取り壊すとのことでなんとか間に合ってよかったです.

徳之島は観光地化されていないので本当の自然を見たい人にはお勧めスポットです.その中でも忘れられない体験は夜の林道を車で移動しながらクロウサギをみつけるツアーでした.ツアーと言っても実際には生家の近くに住んでおられる方の自家用車でのドライブでしたが,最近はそのような有料ツアーが本当にあるみたいです.徳之島はレンタカーを借りることができますが,林道はカーブが多く狭い道なので自分の運転で夜の徳之島の林道に入るのはやめた方が良いです.もしタイヤを溝に入れてしまったりして運転できない状況になっても車外に出ることができないので.その理由は二つ.一つ目は夜はハブが活動していること.夜に林道を車で走ると結構な確率で道路上にいるハブに出くわすとのことです.不思議なことに奄美群島では奄美大島、徳之島だけにハブがいて、他の島にはいないとのことです.もう一つの理由は真っ暗で何も見えないこと.徳之島の夜は本当に真っ暗です.これが自然の夜の暗さなんだと実感できます.住宅のある集落でも夜は懐中電灯なしでは歩くのが怖いくらいですから,夜の林道を歩くのは命がけになってしまいます.


2019年7月21日 10時02分39秒 (Sun)

CS-TC法を考案した背景

RQES2019のCS-T法セッションでの弊社からの2件のプレゼンの中の一つがCS-TC法を制御設計に活用した事例です.CS-TC法はクラスター分析とCS-T法を融合することで用紙種類のような多水準で非連続の誤差因子に対する制御設計を効率化する技法です.印刷業界向けの高速高画質プリンターでは数百もある用紙の銘柄毎に精密搬送の制御条件を決定していましたが,CS-TC法によって用紙物性から各銘柄の用紙の制御条件を高精度に予測することが可能となり,制御設計の工数を大幅に低減することが可能となりました.これまでのCS-T法及びその応用技法であるCS-TG法、AI-Tandem CS-T法は目的特性と現象説明因子の因果関係を把握すること,つまり要因解析を目的としていましたが,CS-TCは予測を目的とした技法です.CS-TC法の詳細は,以下の文献を参照願います.ここではCS-TCを発案した経緯について記したいと思います.

細川哲夫,多田幸司,宮城善一:非連続かつ多水準の誤差因子に対する制御設計方法の提案(クラスター分析とCS-T法の連携),設計工学,Vol.54,No.2,pp.135-144 (2019)
関貴史,細川哲夫,多田幸司,松田祐道:CS-TC法による精密紙搬送制御の精度向上の設計効率化,RQES2019,予稿論文 pp.168-171

CS-T法,CS-TG法,AI Tandem CS-T法はどれも改善とメカニズム把握をコンカレント実施するプロセスを実現するという明確な目的をもって考案した技法ですが,実はCS-TC法はそのような明確な目的を持って考案した技法ではないのです.博士号取得の主査をしていただいた明治大学の宮城教授の研究室では偶然にも用紙物性に関する研究テーマがあり,その計測結果を何らかの企業活動に活用できないかと宮城教授とディスカッションする中から生まれたのがCS-TC法なのです.発案に至るおおよその流れは以下です.

1) 用紙物性をCS-T法の現象説明因子とする
2) 複写プリンタ開発での目的特性の選択 画像と搬送の中から搬送を選択
3) 用紙物性は誤差因子である 誤差因子と搬送の目的特性の因果関係把握することで何か役立つことはないか
4) 誤差因子に対して安定化させることを目的とする制御設計に活用できるのでは
5) CS-Tのサンプルはどのように選択するか? 用紙種類は1因子多水準なので直交表割り付けできない
6) 用紙物性を網羅しながら用紙種類を絞り込む クラスター分析が使える

CS-T法はニーズ型開発アプローチで考案しましたが,CS-T法という技法をベースにシーズ型で開発した技法がCS-TC法であるとも言えます.こんなふうにニーズ型とシーズ型を繰り返す発想法も有効かもしれません.

2019年7月15日 18時22分19秒 (Mon)

RQES2019でのAIと品質工学融合

RQES2019の二日目は午前と午後とも大ホールでの発表を聴講しました。ここでは、午前の2件の発表”IHI-TDMを利用したジェットエンジン性能のロバスト多目的最適化”と”品質工学的最適化スケジューラ”を聴講しての感想をコメントします。

どちらもAIツールやコンピュータパワーを最大限利用することによって効率的かつ正確に最適解を求めることを目的としています。米国機械学会ASME主催のIMECE2017のOptimizationというセッションに発表者と司会者として参加しましたが、そこでの全発表5件のうち3件が新しい最適化アルゴリズムやコンセプトに関する内容でした。RQES2019でのこの2件の発表もカテゴリーとしてはIMECE2017のOptimizationと同じかと思います。最適化の精度や効率の向上を品質工学分野で扱うことはOKと思いますが、もしそれを目的とするのであれば、最適化に関する品質工学分野以外の過去の文献も調査した上で、最適化技法としてのオリジナリティーを主張することが学術発表としては大切かと思います。社内における各種ツールの適用ワークフローを示されていましたが、そこに従来にない要素があり、それが他社でも汎用的に有効性を持って活用できるのであれば価値があるかもしれません。

AIやMBDが注目されていますが、それらのツールを使うこと自体は目的ではありません。ロバスト性を事前に予測することで下流での損失リスクを低減する、あるいは上流段階でロバスト性を確保した技術を蓄積することでお客様の期待を超える製品をタイミングよく提供する、等の目的を実現した研究発表がもっともっと増えることを期待したいと思います。これは自分に対しての発言でもあります。

2019年7月10日 10時56分56秒 (Wed)

RQES大会発表報告 その2 ”CS-T法による制御因子考案と基本機能探索の同時実施”

RQES2019の2日目の午後の大ホールのセッションは3件ともCS-T法の発表となりました.内訳はリコーから2件,ダイセル様から1件です.ダイセル様の発表は,CS-T法を化学系に応用した内容で,得られた技術情報をQFDの2元表に蓄積するというアプローチです.まだトライアル段階ですが,このような取り組みを継続することで幅広く活用できる技術のデータベースを構築することが可能となるはずです.そういう意味で,とても戦略性があると感じました.

私からの表題の発表の主張は,
”CS-T法の活用によって,新たなシステムや制御委因子の考案の的確性が高まると同時に,基本機能を探索することもできる”
ということです.CS-T法は以下の開発活動の3つのパート全てを実験計画として同時に取り上げます.

1) シンセシスパート
システムを考案・選択する.制御因子の水準を変更をする
2) アナリシスパート
目的特性の値が変化する現象を記述するために現象説明因子Xをたくさん取り上げる
3) マネジメントパート
   VOCの代用となる計測特性と目的機能を定義し,誤差因子を抽出選択することで性能と品質の目標を設定する

この3つのパートの因果関係は1)⇒2)⇒3)となりますが,CS-T法は2)と3)の因果関係を把握することを目的とします.この因果関係を把握することは,すなわち改善メカニズムの理解につながるので,それによって新たなシステムや制御
因子を考案する的確性が高まることを目指すのがCS-T法の第一の狙いです.ここで的確性とは性能と品質の目標を達成する可能性の高さです.

一方,基本機能の計測特性を以下のように定義すれば,CS-T法をベースとした開発活動は基本機能の探求活動であるとも言えるわけです.
基本機能の計測特性y*:アナリシスパートにある現象説明因子Xの中でVOCの代用となる計測特性yと因果関係を持ち,         yを完全に置き換えることが可能なもの
ここで完全に置き換え可能とは,計測特性yと因果関係を持つ制御因子全てと因果関係を持つ現象説明因子であるという意味です.この完全を定義に入れると基本機能が存在するケースが激減してしまうと思います.

この発表では2つの事例で基本機能の探索結果を示しましたが,ここで言いたいことは,基本機能を発想することはとても有効ですが,目的特性との因果関係の完全性を把握する活動なしに,それを開発活動の指標にすることは大きなリスクになるということです.基本機能は開発の方向性を決める指標であり,到達点を測るものさしにもなるわけですから,その定義が誤っていると開発活動はゴールに向かって進まなくなってしまいます.それが基本機能の有効性を確認せずに開発活動に適用するリスクです.そういう意味で基本機能万能主義はまずいと思うのです.


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