2019年12月 アーカイブ
2019年12月22日 17時19分44秒 (Sun)
西堀流のイノベーションマネジメント
失われた20年の間に日本はグローバルな競争力を著しく低下させてしまいました.12/10の日経新聞では日本の賃金が1997年を100%としたときに90%まで低下したとの記事が出ていました.海外では米国が116%,英国でも127%と伸びている中での一人負けのような状況にショックを受けました.ここ数年,海外の学会に何度か参加しましたが,米国の機械学会ASMEが主催する国際大会や品質に関する国際大会QMODでも日本の存在感がとても低く,かつての技術立国,品質立国の面影をまったく感じなくなってしまいました.最近,日本人のノーベル賞受賞が続いてまいますが,ノーベル賞は過去の取り組みの結果であり,現在の日本の取り組みが将来の日本を決めてしまうのです.日本は食料も資源も海外に依存している国です.輸出産業で世界に貢献できなくなったときに今の生活を維持できるとは思えません.
日本の課題を解決する方法は既に過去の日本の中にあると言われています.一橋大学の名誉教授の野中博士は,かつての日本と今のグローバル企業にはあるが,今の日本企業からは消えてしまった”共感”がイノベーションの本質と仰っています.かつてのホンダの本田社長やソニーの井深社長は技術者と同じ目線で厚く技術論を交わしていたのです.技術の前に上下関係はありません.日本の品質管理の先駆者である西堀先生は創造性を育てる方法について,以下のように仰っています.
・技術者が思いついたアイデアや提案を育てもしない先に評価してはいけない
・発案者はほかの人から見れば,まるで馬鹿ではないかと思われる
・よってそのアイデアは誰かが育てなければならない それは大物でなければならない
・アイデアをモノにするには馬鹿と大物がそろわなければならない
実は大物はアイデアの中身を知る必要がないのです.
ロジックではなく第六感で”何か知らんがそう感じる”が大切,ロジックばかりで批判ばかりやってるインテリではアイデアは育たない,と西堀先生が仰っています.
ロジックの世界で生きてきた方々には信じられないことかもしれませんが,このブログでも何度か取り上げた7層方式のLIMDOW-MOが正にノンロジックの意思決定が成功の原動力だったのです.当時の光ディスクの専門家のほぼ全員が大反対する中で,技術を知らない日立マクセルのたった一人の経営者が,おそらくは第六感で,こいつは面白いと感じたのだと思います.あの即断即決の意思決定が信頼につながり,我々技術者のモチベーションを飛躍的に高める効果が成功の原動力の1つでした.もし責任回避のスタンラリーで数か月も費やしていたら間違いなく事業化は失敗していました.
技術者の創造性とモチベーションを引き出すマネジメントを取り戻すこと,それが今後の日本企業,特に製造業がグローバルに生き残っていくために第一に必要なことであると思います.
日本の課題を解決する方法は既に過去の日本の中にあると言われています.一橋大学の名誉教授の野中博士は,かつての日本と今のグローバル企業にはあるが,今の日本企業からは消えてしまった”共感”がイノベーションの本質と仰っています.かつてのホンダの本田社長やソニーの井深社長は技術者と同じ目線で厚く技術論を交わしていたのです.技術の前に上下関係はありません.日本の品質管理の先駆者である西堀先生は創造性を育てる方法について,以下のように仰っています.
・技術者が思いついたアイデアや提案を育てもしない先に評価してはいけない
・発案者はほかの人から見れば,まるで馬鹿ではないかと思われる
・よってそのアイデアは誰かが育てなければならない それは大物でなければならない
・アイデアをモノにするには馬鹿と大物がそろわなければならない
実は大物はアイデアの中身を知る必要がないのです.
ロジックではなく第六感で”何か知らんがそう感じる”が大切,ロジックばかりで批判ばかりやってるインテリではアイデアは育たない,と西堀先生が仰っています.
ロジックの世界で生きてきた方々には信じられないことかもしれませんが,このブログでも何度か取り上げた7層方式のLIMDOW-MOが正にノンロジックの意思決定が成功の原動力だったのです.当時の光ディスクの専門家のほぼ全員が大反対する中で,技術を知らない日立マクセルのたった一人の経営者が,おそらくは第六感で,こいつは面白いと感じたのだと思います.あの即断即決の意思決定が信頼につながり,我々技術者のモチベーションを飛躍的に高める効果が成功の原動力の1つでした.もし責任回避のスタンラリーで数か月も費やしていたら間違いなく事業化は失敗していました.
技術者の創造性とモチベーションを引き出すマネジメントを取り戻すこと,それが今後の日本企業,特に製造業がグローバルに生き残っていくために第一に必要なことであると思います.
2019年12月22日 16時43分17秒 (Sun)
ISO 56002:2019 イノベーション創出のマネジメント手法 その4
商品開発プロセス研究会 WG-1にて平林様から紹介のあったイノベーション創出マネジメントの行動指針より,私の経験から重要と思う4つめの項目です
”小さく早く失敗し,挑戦の経験値を増やしながら,組織文化の変革に取り組む”
これは田口玄一博士の語録の中で私が最も好きなフレーズ、
“技術者は創造能力がないわけではない.自分の現在のアイデアが駄目だと明白にならない限り次のアイデアを考えようとしない.したがってアイデアの評価の合理化,特に予測的評価が大切である”
と同じことを言ってますね.
また、田口玄一博士のフレーズ、
”だめなコンセプトの技術方式を最適化してもロバスト性は確保できない”
も同じ意味です.
最近、”品質工学は技術者が利用する改善ツールである”と理解されるケースが多くなってきているように感じます.一方,この例のように田口頃語録を解釈した上で品質工学を理解するためにはマネジメントの視点が必要になってきます.そして,マネジメントの視点から品質工学の各技法の狙いを再定義することで,技法活用の効果を飛躍的に高めることが可能になると考えています.
”小さく早く失敗し,挑戦の経験値を増やしながら,組織文化の変革に取り組む”
これは田口玄一博士の語録の中で私が最も好きなフレーズ、
“技術者は創造能力がないわけではない.自分の現在のアイデアが駄目だと明白にならない限り次のアイデアを考えようとしない.したがってアイデアの評価の合理化,特に予測的評価が大切である”
と同じことを言ってますね.
また、田口玄一博士のフレーズ、
”だめなコンセプトの技術方式を最適化してもロバスト性は確保できない”
も同じ意味です.
最近、”品質工学は技術者が利用する改善ツールである”と理解されるケースが多くなってきているように感じます.一方,この例のように田口頃語録を解釈した上で品質工学を理解するためにはマネジメントの視点が必要になってきます.そして,マネジメントの視点から品質工学の各技法の狙いを再定義することで,技法活用の効果を飛躍的に高めることが可能になると考えています.
2019年12月13日 19時44分12秒 (Fri)
多摩川と鶴見川 CAPDとPDCA
先日の台風19号では記録的な豪雨により多摩川が決壊し、周囲に多くの被害をもたらしました。二子玉川駅近くの、いつもお世話になっているサイクルショップも、1階が濁流で流され、長く閉店が続いておりました。幸い、PCデータや商品は事前に引き上げていたので損失は最小限だったそうです。ちょうどQMODに参加するために羽田からポーランドに向かう次の日から東京近郊が暴風雨兼に入ったので、もし出発が1日遅れていたら発表は取りやめになっていたかもしれません。
多摩川の被害が大きく報道される一方で、あまり報道はされていないけれども、ある意味で多摩川よりも注目すべきが鶴見川であることを知りました。鶴見川は多摩川と同じく過去に何度か氾濫したことがある一級河川なのですが、多摩川の近くを流れる鶴見川は今回の台風でも氾濫せず、周辺に被害を出していません。これは実は偶然のことではなく、この差が生まれた背景には納得できる理由があるのです。鶴見川の氾濫対策は1970代から当時の建設省が主導して戦略が立案され、1980年には鶴見川流域総合治水対策として正式に施策がスタートしました。それが遊水地です。鶴見川の周辺には複数の遊水地が設けられ、水量が多くのなると一時的に雨水がそこに流れるしくみになっています。ラグビーワールドカップが開催された横浜国際総合競技場もその一つの遊水地にあります。この遊水地が機能したために鶴見川では被害がなかったということです。
ではなぜ多摩川では鶴見川のような施策を実施できなかったのか?
そこにはいくつか要因があると思いますが、その1つは、ある河川の流域で総合的な施策を実行するためには複数の自治体の利害を超えた協力が必要になることにあると聞きました。鶴見川の流域にある町田市、稲城市、横浜市、川崎市が建設省の戦略を納得し、利害を超えて1つの目標に向けた取り組みを長期にわたり実施した結果の成果だと思います。
多摩川と鶴見川の違いはCAPDとPDCAの違いの1つの例ではないかとも感じます。多摩川周辺には多くの住民が居住しているため、今となっては鶴見川のような遊水地を作るのは相当に困難かと思います。時間が経過すればするほど手段が限定されてしまうことは多くの分野で共通なことなのかもしれません。
多摩川の被害が大きく報道される一方で、あまり報道はされていないけれども、ある意味で多摩川よりも注目すべきが鶴見川であることを知りました。鶴見川は多摩川と同じく過去に何度か氾濫したことがある一級河川なのですが、多摩川の近くを流れる鶴見川は今回の台風でも氾濫せず、周辺に被害を出していません。これは実は偶然のことではなく、この差が生まれた背景には納得できる理由があるのです。鶴見川の氾濫対策は1970代から当時の建設省が主導して戦略が立案され、1980年には鶴見川流域総合治水対策として正式に施策がスタートしました。それが遊水地です。鶴見川の周辺には複数の遊水地が設けられ、水量が多くのなると一時的に雨水がそこに流れるしくみになっています。ラグビーワールドカップが開催された横浜国際総合競技場もその一つの遊水地にあります。この遊水地が機能したために鶴見川では被害がなかったということです。
ではなぜ多摩川では鶴見川のような施策を実施できなかったのか?
そこにはいくつか要因があると思いますが、その1つは、ある河川の流域で総合的な施策を実行するためには複数の自治体の利害を超えた協力が必要になることにあると聞きました。鶴見川の流域にある町田市、稲城市、横浜市、川崎市が建設省の戦略を納得し、利害を超えて1つの目標に向けた取り組みを長期にわたり実施した結果の成果だと思います。
多摩川と鶴見川の違いはCAPDとPDCAの違いの1つの例ではないかとも感じます。多摩川周辺には多くの住民が居住しているため、今となっては鶴見川のような遊水地を作るのは相当に困難かと思います。時間が経過すればするほど手段が限定されてしまうことは多くの分野で共通なことなのかもしれません。
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