2020年4月 アーカイブ

2020年4月26日 17時26分11秒 (Sun)

ドイツの予測対応力

欧州での新型コロナウイルスに対する各国の対応の中でドイツが注目されています.フランス,スペイン,イギリスの感染者数あたりの死亡率が10%を超える中で,ドイツの死亡率は3%程度と低いのですから注目されるのは当然でしょう.この差を生み出した要因の一つが医療体制の充実度です.例えば,10万人あたりの人工呼吸器付ICUの数は以下のようにドイツが圧倒的です.

ドイツ:29.2床 
イタリア:12.5床
スペイン:9.7床
日本:5床

また,ドイツは5~6万件/日のPCR検査体制が整っているとのことです.これらの事前準備は2012年の時点でロベルトコッホ研究所から出された新型ウイルス感染のワーストケースシナリオがベースになっているとの記事を読んで,ドイツの戦略性の高さを改めて感じました.

ドイツは今回のウイルス感染だけではなく,ビジネスの世界でも産学共同体制を作って将来の国際競争をリードする体制を着実に構築しています.新型コロナウイルスの感染拡大に対する各国の対応を目の当たりにして,日本は海外から学ぶべきことが多いのではないかと感じた方が多いのではないでしょうか.

かつて日本産業界は世界をリードし,Japan as No.1と呼ばれていました.そのころ欧米企業は日本から学び,それを自分達流にアレンジしてSix SIgmaやDesign For Six Sigmaなどの仕組みや技法を構築しました.いま我々日本は欧米から学び,そしてそれを超えることが必要です.その活動の一つが品質工学会と品質管理学会の共同研究会「商品開発プロセス研究会」です.今後はこの研究会の活動状況についても共有化したいと思います.


https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/042000163/?P=1



2020年4月12日 16時27分03秒 (Sun)

BCG仮説と西堀流

このような状況の中,日本ワクチン学会は真偽が科学的に確認されてない,
つまり医学的なメカニズムで記述される因果関係が明確になっていないという理由で,
その活用は推奨しないというコメントを出しています.
オランダなどの他国の対応とはまったく異なっています.

http://www.jsvac.jp/pdfs/kenkai.pdf

この日本ワクチン学会のコメントを見て,
西堀先生の”忍術でもええで”を思い出しました.
解決方法をどんどん発想して,効果がありそうなら因果関係の明確化の前に適用する,
というアプローチです.
1回目の南極越冬ではこの考え方で直面する困難を乗り越えたのです.
死に直面する場面ではこのような予測対応が生死を分けるものだと思います.

そもそも因果関係を把握する目的は何かについて考えてみます.
純粋な学問追求のために因果関係の研究をしている状況ではないのでこれは論外として,
因果関係を明確にしないと効果の有無の判断ができないという考え方が根底にあるのではないかと思いますが,
今は専門領域の学問的な判断ではなく,
経済的な損失で判断すべき時だと思うのです.

L1=BCGを使用した際の損失=使用コスト+副作用による損失
L2=しなかった場合の損失=救えたはずの命
L1よりL2が何百倍以上も大きいのであれば実施すべき
という判断です
これが田口先生の損失関数の考え方です.

また,技術開発の場での因果関係把握の目的はシステムや制御因子などの手段を考案することです.
今はBCGという大きな効果を持つでろう制御因子があることがわかっているのですから,
因果関係の把握を優先する意味がありません.


2020年4月12日 15時55分33秒 (Sun)

BCG仮説

新型コロナの予防にBCG接種が有効という仮説があります.
各国の人口当たりの感染率や死亡率とBCG接種有無を比較をすると両者に相関があるという事実がこの仮説を元となっています.
接種を継続しているイラクに比べて1984年に接種をやめた隣国イランは60倍が感染,
81年にやめたスペインは,接種を続けているポルトガルの13倍等々.

これだけのn数なのでこの差は偶然ではなく背後に何らかの因果関係はありそうです.
日本の死亡率が他国に比べて低いのもBCG接種が要因である可能性は否定できませんが,
そもそもの検査数が少ないなど他の要因の可能性も捨てきれません.
BCG効果に期待したいところですが,
こういうデータは偽相関の可能性も十分あり得るので,一般的にはあまり信頼されません.
つまり,この結果だけからBCGに効果があると判断し,接種していな国の国民に接種を促すというような判断には至らないことが多いでしょう.

ただし,BCGの効果を信頼できる注目すべき事実があります.
ドイツでは,接種を継続していた旧東ドイツでの感染率と死亡率が,
98年までで接種をやめた旧西ドイツに比べて明確に低いという事実があるとのことなのです.
これはフィッシャー流で言えば局所管理された実験結果と言えるので信頼性はかなり高くなります.
旧東西ドイツの国民が感染するリスク及び死亡するリスクが等しいと仮定すると、
偶然にこのような差となる可能性はほぼゼロです.

オランダでは医療従事者へのBCG接種をスタートさせたほかオーストラリアは臨床試験を始め,米国,ドイツも検証を始めるとのことです.おそらくドイツでの事実から判断したのではないかと思います.

日本はBCG接種を継続してきた数少ない国の一つかと思います.
BCGと新型コロナ予防の医学的な因果関係は不明ですが,それが明らかになるのを待つのではなく,
発展途上国の子供に戦略的に接種するなど,日本が国際貢献の検討を始めるタイミングであると思います.

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