2020年8月 アーカイブ
2020年8月23日 15時35分57秒 (Sun)
Blu-ray Discも再生不能予測を
前々回のブログで洗濯機などの家電製品の故障予測ができるとお客様にとってメリットがあると述べましたが,同様に光ディスクでも再生不能になる前にそれを予測できればメリットがあると思います.
昔のカセットテープやVHSビデオのようなアナログ製品であればテープの劣化に伴って画質も悪化するので再生が困難になる機能限界までの時間をある程度感覚的に予測することができました.ところがDVDやBlu-ray`などのデジタル製品はエラー訂正という機能があるため,基板にキズがついたりほこりが付着しても,ある一定のレベルまでは再生エラーを訂正して元通りの正しい情報を再現してくれるので,お客様はキズやほこりの増加に気が付きません.そしてキズやほこりの付着がある一定のレベル以上となってエラー訂正の限界を超えると突然再生不具合が発生するのです.
つまり機能限界まで機能を正常に維持してしまうのでお客様の感覚としては突発的に壊れたように感じてしまうのです.実際にはキズやほこり付着の量はだんだんと増加するケースがほとんどで,それに伴ってエラーも増加していきます.そのエラーの増加を見える化することは技術的に可能です.それをBlu-rayプレーヤーの新しい機能として搭載すれば便利かと思います.Discが再生不能になる前にそれを知らせてくれればその時点でバックアップを取るなどの対応ができるので.
そもそもCDやDVDなどの光ディスクはバックアップ媒体でしたが・・・
昔のカセットテープやVHSビデオのようなアナログ製品であればテープの劣化に伴って画質も悪化するので再生が困難になる機能限界までの時間をある程度感覚的に予測することができました.ところがDVDやBlu-ray`などのデジタル製品はエラー訂正という機能があるため,基板にキズがついたりほこりが付着しても,ある一定のレベルまでは再生エラーを訂正して元通りの正しい情報を再現してくれるので,お客様はキズやほこりの増加に気が付きません.そしてキズやほこりの付着がある一定のレベル以上となってエラー訂正の限界を超えると突然再生不具合が発生するのです.
つまり機能限界まで機能を正常に維持してしまうのでお客様の感覚としては突発的に壊れたように感じてしまうのです.実際にはキズやほこり付着の量はだんだんと増加するケースがほとんどで,それに伴ってエラーも増加していきます.そのエラーの増加を見える化することは技術的に可能です.それをBlu-rayプレーヤーの新しい機能として搭載すれば便利かと思います.Discが再生不能になる前にそれを知らせてくれればその時点でバックアップを取るなどの対応ができるので.
そもそもCDやDVDなどの光ディスクはバックアップ媒体でしたが・・・
2020年8月22日 18時30分48秒 (Sat)
Blu-ray Discと狩野モデル
7月15日のブログで狩野モデルについて説明しました.最近,狩野モデルの一元的品質と当たり前品質のトレード問題の好事例を体験したので共有化します.題材は光ディスクのBlu-rayです.光ディスクの最も重要な一元的品質である記憶容量においてBlu-rayの25GBは4.7GBのDVDや700MBのCDに対して圧倒的な優位性を持っています.もし当たり前品質とのトレードオフがなく,25GBを維持しながらCDやDVD並みの再生信頼性を実現していれば本物の技術といってもよいでしょう.
しかし,私はBlu-rayの規格が提案されたころからこの点について大いに疑問に思っていました.Blu-rayが25GBを実現するために採用した手段の中には青色レーザーのように一元的品質と当たり前品質を両立した本物の技術もありますが,原理的に一元的品質と当たり前品質がトレードオフ関係になってしまう手段も採用されているのです.それがレンズと記録層との距離です.Blu-rayはレンズと記録層との距離,すなわち基板表面と記録層との距離を大幅に短くすることで25GBを実現しているのです.その距離はCDの1.2mm,DVDの0.6mmに対して0.1mmです.
光ディスクやハードディスクなどの回転記録媒体の最大の敵は記録媒体のキズやほこりです.そして,回転記録媒体の信頼性を確保する方法はキズやほこりがつかないようにするか,あるいはキズやほこりがあっても十分な信頼性で再生できるようにするかのどちらかしかありません.ハードディスクはディスクを閉じた箱に閉じ込めているので外部からキズもほこりもつきません.一方,CDやDVDはディスクをリムーバブルに利用することが大前提ですから,長期間にわたって記録した音楽や動画を再生するためには,ディスクにキズやほこりがついても十分な精度での再生を可能にするしかないのです.つまり,キズやほこりは光ディスクにとって最大のノイズ因子なのです.
この光ディスクの再生ロバスト性の高さを確保する手段がレンズと記録薄膜層との距離を離すことなのです.それによってディスク基板の表面に照射されるレーザー光の面積を大きくすることが可能となり,キズやほこりに対するロバスト性を確保することが可能になります.このことは,レンズと記録層を近づければ近づけるほど大容量化が可能になることとの裏返しの関係であり,両者は単純なトレードオフ関係なのです.コピーマシンの印刷速度を高めるにはローラーの回転速度を高くすればよく,それ自体は簡単ですが用紙搬送速度を速くすればするほど用紙詰まりの頻度が大きくなってしままうことが本質的な課題です.これと光ディスクにおけるレンズと記録層との距離は同じ関係なのです.
実は3~5年ほど前に私が記録したBlu-ray Diskの再生不良が最近目立つようになってきたのです.2台の装置で再生してみましたが同じ場所で再生不具合が発生したので原因は装置ではなくDiskであることは間違いありません.どうやらBlu-rayの技術開発は狩野モデルの一元的品質を優先し,当たり前品質を犠牲にする方向でマネジメントされたようです.
しかし,私はBlu-rayの規格が提案されたころからこの点について大いに疑問に思っていました.Blu-rayが25GBを実現するために採用した手段の中には青色レーザーのように一元的品質と当たり前品質を両立した本物の技術もありますが,原理的に一元的品質と当たり前品質がトレードオフ関係になってしまう手段も採用されているのです.それがレンズと記録層との距離です.Blu-rayはレンズと記録層との距離,すなわち基板表面と記録層との距離を大幅に短くすることで25GBを実現しているのです.その距離はCDの1.2mm,DVDの0.6mmに対して0.1mmです.
光ディスクやハードディスクなどの回転記録媒体の最大の敵は記録媒体のキズやほこりです.そして,回転記録媒体の信頼性を確保する方法はキズやほこりがつかないようにするか,あるいはキズやほこりがあっても十分な信頼性で再生できるようにするかのどちらかしかありません.ハードディスクはディスクを閉じた箱に閉じ込めているので外部からキズもほこりもつきません.一方,CDやDVDはディスクをリムーバブルに利用することが大前提ですから,長期間にわたって記録した音楽や動画を再生するためには,ディスクにキズやほこりがついても十分な精度での再生を可能にするしかないのです.つまり,キズやほこりは光ディスクにとって最大のノイズ因子なのです.
この光ディスクの再生ロバスト性の高さを確保する手段がレンズと記録薄膜層との距離を離すことなのです.それによってディスク基板の表面に照射されるレーザー光の面積を大きくすることが可能となり,キズやほこりに対するロバスト性を確保することが可能になります.このことは,レンズと記録層を近づければ近づけるほど大容量化が可能になることとの裏返しの関係であり,両者は単純なトレードオフ関係なのです.コピーマシンの印刷速度を高めるにはローラーの回転速度を高くすればよく,それ自体は簡単ですが用紙搬送速度を速くすればするほど用紙詰まりの頻度が大きくなってしままうことが本質的な課題です.これと光ディスクにおけるレンズと記録層との距離は同じ関係なのです.
実は3~5年ほど前に私が記録したBlu-ray Diskの再生不良が最近目立つようになってきたのです.2台の装置で再生してみましたが同じ場所で再生不具合が発生したので原因は装置ではなくDiskであることは間違いありません.どうやらBlu-rayの技術開発は狩野モデルの一元的品質を優先し,当たり前品質を犠牲にする方向でマネジメントされたようです.
2020年8月11日 14時53分53秒 (Tue)
家電製品にも故障予測がほしい
工程や製造装置ではMT(マハラノビスタグチ)法などのAI手法を活用した故障予測が一般的になってきました.私も富士通時代に半導体プロセスのある製造装置の部品の故障予測の体制構築をMT法で支援したことがあります.その狙いは,ある高価な部品の交換サイクルを適正化することによってダウンタイムを最少に維持しながらコストダウンを達成することにありました.それ以前までその部品は定期交換対象となっており,劣化によって機能を失うよりもだいぶ前に交換していたのです.まだ十分に機能している部品を交換してしまうのは無駄と言えます.理想は機能を失う寸前まで稼働することです.それによって自社のコストダウンだけではなく資源の有効利用という意味での総合的な損失を減らすこともできます.
一方,一般家庭で使われる家電製品はどうでしょうか.故障予測の機能がないのが普通ですが,機能が失われたときの損失は決して小さくないということを実感したのです.実は一週間前に我が家の洗濯機が故障してしまったのです.近くの家電量販店で新しい洗濯機を購入したのですが,取り付け工事までに1週間も待たなければならなかったのです.その間はコインランドリーか手洗いとなってしまうことが普通でしょうが,幸い今回のケースでは洗濯槽を回転させるモーターは機能していたので全手動でだましながらなんとか少量の洗濯は可能でした.もし,このモータが機能を失っていたら毎日コインランドリー通いだったでしょう.コインランドリー通いはそれなりに時間がかかるので無視できない損失が発生します.それでも洗濯機なら時間的な損失を許容すれば対応可能ですが,猛暑の中でエアコンが故障してしまったらと考えると話は別です.もし新品の取り付けまで1週間もかかるようなことがあれば熱中層のリスクが高まってしまいます.それは大きな損失ですから,もしすぐに新品交換できない状況が想定されるのであれば,故障予測機能をつける価値もあるような気もしました.故障を前提にすることが建前上は難しいかもしれませんが.あるいは業務用のMFP(マルチファンクションプリンター)のように故障したらすぐにサービス対応する体制を構築することが必要かと思います.
一方,一般家庭で使われる家電製品はどうでしょうか.故障予測の機能がないのが普通ですが,機能が失われたときの損失は決して小さくないということを実感したのです.実は一週間前に我が家の洗濯機が故障してしまったのです.近くの家電量販店で新しい洗濯機を購入したのですが,取り付け工事までに1週間も待たなければならなかったのです.その間はコインランドリーか手洗いとなってしまうことが普通でしょうが,幸い今回のケースでは洗濯槽を回転させるモーターは機能していたので全手動でだましながらなんとか少量の洗濯は可能でした.もし,このモータが機能を失っていたら毎日コインランドリー通いだったでしょう.コインランドリー通いはそれなりに時間がかかるので無視できない損失が発生します.それでも洗濯機なら時間的な損失を許容すれば対応可能ですが,猛暑の中でエアコンが故障してしまったらと考えると話は別です.もし新品の取り付けまで1週間もかかるようなことがあれば熱中層のリスクが高まってしまいます.それは大きな損失ですから,もしすぐに新品交換できない状況が想定されるのであれば,故障予測機能をつける価値もあるような気もしました.故障を前提にすることが建前上は難しいかもしれませんが.あるいは業務用のMFP(マルチファンクションプリンター)のように故障したらすぐにサービス対応する体制を構築することが必要かと思います.
2020年8月2日 20時10分56秒 (Sun)
リコーでこれまで支援した技術開発テーマ(公開されたもの)
2007年にリコーに2回目の入社をしてから現在までに支援した技術開発テーマの中で思い出深いものです
どのテーマも創造性豊かな技術者が生み出した成果です
品質工学は”鬼に金棒”の金棒ですから主役は技術者でした
◆VCSELレーザーの技術開発
https://jp.ricoh.com/technology/tech/038_vcsel
◆ジェルジェットプリンタ用インクの技術開発
https://www.ricoh.co.jp/printer/support/supply/
◆遊星歯車機構の技術開発
https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/technology/techreport/39/pdf/RTR39a08.pdf
◆小型折り機構の技術開発
http://www.technologies.ricoh.co.jp/products/tech_info/pdf/small_multi-fold.pdf
http://www.technologies.ricoh.co.jp/products/tech_info/small_multi-fold.html
https://www.youtube.com/watch?v=A9z10H1hmYE
◆スペックル解消素子の技術開発
https://jp.ricoh.com/release/2018/0830_1.html
◆ハンディプリンタの技術開発
https://www.ricoh.co.jp/printer/handy-printer
◆印刷業界向けプリンターの用紙搬送精密制御の設計方法の技術開発
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsde/54/2/54_2018.2808/_article/-char/ja
どのテーマも創造性豊かな技術者が生み出した成果です
品質工学は”鬼に金棒”の金棒ですから主役は技術者でした
◆VCSELレーザーの技術開発
https://jp.ricoh.com/technology/tech/038_vcsel
◆ジェルジェットプリンタ用インクの技術開発
https://www.ricoh.co.jp/printer/support/supply/
◆遊星歯車機構の技術開発
https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/technology/techreport/39/pdf/RTR39a08.pdf
◆小型折り機構の技術開発
http://www.technologies.ricoh.co.jp/products/tech_info/pdf/small_multi-fold.pdf
http://www.technologies.ricoh.co.jp/products/tech_info/small_multi-fold.html
https://www.youtube.com/watch?v=A9z10H1hmYE
◆スペックル解消素子の技術開発
https://jp.ricoh.com/release/2018/0830_1.html
◆ハンディプリンタの技術開発
https://www.ricoh.co.jp/printer/handy-printer
◆印刷業界向けプリンターの用紙搬送精密制御の設計方法の技術開発
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsde/54/2/54_2018.2808/_article/-char/ja
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