2021年3月 アーカイブ
2021年3月30日 15時29分20秒 (Tue)
技術開発プロセスを設計するプラットフォーム"T7"に至る背景と活用方法
品質工学会と品質管理学会の共同研究会「商品開発プロセス研究会」のWG2「創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの構築」の2年間の活動がゴールに到達し,この成果を実践活用する段階に入ったことはすでに報告しました.今回はこの活動で構築した技術開発のプラットフォーム"T7"に至るまでの背景と"T7"の活用方法を共有します.
【"T7"とその活用方法】
7つの要素と対応する技法
マネジメント関与
・目標設定と評価 Decision 機能性評価,ロバストパラメータ設計
帰納・演繹活動
・製品設計情報 ロバストパラメータ設計,実験計画法,物理式,AI
・分析 Type1 Type2 Type1 改善メカニズム分析:CS-T,GM
Type2 不具合モード:信頼性工学
アブダクション活動
・概念化 基本機能,源機能,R-FTA,公理設計
・(サブ)システム考案 Pugh,TRIZ,公理設計
・市場の創造 福原流QFD
仕組み運用
・顧客要求の定義 QFD
活用1 技術開発プロセスの設計
Step1 "T7"の7つの要素から必要な要素を選択し,実施順番を決定する
Step2 各要素から目的に応じて最も効果的な技法を選択する.あるいは技法を活用しない判断をする.
Step3 各要素の実施計画を立案する
【T7に至る背景】
当初は技術開発のプロセスを構築することを目指していましたが,リコー社内の技術開発の成功事例を見てもテーマ毎にプロセスが異なっていることから,一つのプロセスを構築することは無理であるとの判断に至りました.そこで,技術開発の活動に共通する”本質的な要素”を定義し,そこに技法を対応させることによって,技術開発プロセスを設計するためのプラットフォームを構築するアプローチに研究の方向を変更しました.その成果が"T7"です.【"T7"とその活用方法】
7つの要素と対応する技法
マネジメント関与
・目標設定と評価 Decision 機能性評価,ロバストパラメータ設計
帰納・演繹活動
・製品設計情報 ロバストパラメータ設計,実験計画法,物理式,AI
・分析 Type1 Type2 Type1 改善メカニズム分析:CS-T,GM
Type2 不具合モード:信頼性工学
アブダクション活動
・概念化 基本機能,源機能,R-FTA,公理設計
・(サブ)システム考案 Pugh,TRIZ,公理設計
・市場の創造 福原流QFD
仕組み運用
・顧客要求の定義 QFD
活用1 技術開発プロセスの設計
Step1 "T7"の7つの要素から必要な要素を選択し,実施順番を決定する
Step2 各要素から目的に応じて最も効果的な技法を選択する.あるいは技法を活用しない判断をする.
Step3 各要素の実施計画を立案する
活用2 現在の技術開発の課題可視化
現在の活動が"T7"のどの要素なのか,目標達成に足りない要素はないかについて判断する
2021年3月21日 13時53分14秒 (Sun)
前の投稿の続き
前回の投稿で治療方法によって結果がまったく違う体験を書きました.今回はその続きとして,この治療法の違いが信頼性工学と品質工学の違いと共通性があることをお伝えしたいと思います.
最初の治療法はしびれの発生源である骨の不具合をダイレクトに取り除こうというアプローチです.この骨の不具合は老化という劣化現象による必然的なノイズ因子であるとすると,最初の治療法は顕在化した症状の直接原因となったノイズ因子自体をなくすというアプローチですから信頼性工学のアプローチと言えます.
一方,後者のアプローチは直接の原因となったノイズ因子はそのままにして,骨の劣化現象というノイズ因子の水準が悪化の方向に変化しても症状が出ないように筋力を鍛えたり,筋肉の質を変えるというものです.これは身体というシステムの構造を変えることによって,骨の劣化というノイズ因子に対するロバスト性を高めるアプローチですから,品質工学の戦略そのものと言えます.
このように医療の世界でも不具合除去のアプローチだけではなく,ロバスト性改善のアプローチが存在し,そのアプローチが有効性を持つ場合があることを認識しました.もちろん直接原因を取り除く治療が有効なケースがたくさんあると思いますが,ロバスト性確保の治療も選択視に入れることもありかなと思います.さらに言えば未然防止の考え方で,症状が出る前にそれを予測して身体というシステムのロバスト性を事前に確保しておくことがより効果的なアプローチなのでしょう.
最初の治療法はしびれの発生源である骨の不具合をダイレクトに取り除こうというアプローチです.この骨の不具合は老化という劣化現象による必然的なノイズ因子であるとすると,最初の治療法は顕在化した症状の直接原因となったノイズ因子自体をなくすというアプローチですから信頼性工学のアプローチと言えます.
一方,後者のアプローチは直接の原因となったノイズ因子はそのままにして,骨の劣化現象というノイズ因子の水準が悪化の方向に変化しても症状が出ないように筋力を鍛えたり,筋肉の質を変えるというものです.これは身体というシステムの構造を変えることによって,骨の劣化というノイズ因子に対するロバスト性を高めるアプローチですから,品質工学の戦略そのものと言えます.
このように医療の世界でも不具合除去のアプローチだけではなく,ロバスト性改善のアプローチが存在し,そのアプローチが有効性を持つ場合があることを認識しました.もちろん直接原因を取り除く治療が有効なケースがたくさんあると思いますが,ロバスト性確保の治療も選択視に入れることもありかなと思います.さらに言えば未然防止の考え方で,症状が出る前にそれを予測して身体というシステムのロバスト性を事前に確保しておくことがより効果的なアプローチなのでしょう.
2021年3月13日 16時09分09秒 (Sat)
治療方法で効果が大違い
実は数年前から腕を前に伸ばした姿勢にすると右側の首から腕にかけてしびれが出る頸椎症性神経根症になってしまい,通勤途中の整形外科に通い投薬とリハビリの治療を継続していたのです.具体的な治療内容はメチコバールとリリカという薬を服用しながら首を牽引するリハビリを継続するというものです.首の骨に原因があることは明確なので,このリハビリは原因を直接的に取り除くという意味でとても納得できると感じていました.ところが一年以上にわたって薬とリハビリを継続しても改善効果はほとんどゼロだったのです.これはもう完治は無理かなとあきらめていたところでコロナの影響で在宅勤務が始まったことがラッキーでした.
その整形外科は通勤途中にあり,自宅から通うのはとても非効率なので在宅勤務になってから近所の整形外科に改めて通院することにしたのです.そこでの医師の一言が衝撃でした.レントゲン写真を見て,「これは2~3ヶ月で症状が軽減し,数か月で完治しますと」という予測結果が出されたのです.さらに「首の牽引は効かないでしょ」とも言われ,あまりに的確で,かつこれまでの治療方法を真っ向否定するストレートな発言に少々戸惑ってしまいました.で,その治療法はというと薬を変えることと,ストレッチなのです.薬の服用は最初の2か月くらいでしたので,メインの治療は理学療法士の指導によるストレッチです.最初の数か月はあまり効果実感がなく,半信半疑だったのですが,半年くらい経過したあたりから明らかな効果を感じるようになりました.その後ストレッチに加えて,筋トレによる体幹強化も理学療法士の方からアドバイスをいただきながら実施したので両方の効果だと思いますが,今ではまったくしびれがなくなり,完治することができたのです.理学療法士の先生には感謝感謝です.
治療方法によってこんなにも効果が違うことは驚きですが,その前に同じ整形外科でもなぜこうも治療方針が異なるのかについての疑問があるかと思います.前のクリニックでも首の牽引に効果がなければストレッチへという治療方針の変更があってもよいのではと思うのも当然なのですが,それについてはおそらく経営的に難しいのではないかと思っています.これは推定ですが,その通勤途中のクリニックは首の牽引など,高額そうなリハビリ機器が充実していてそれらへの設備投資は相当額になることは容易に想像がつきます.よって,設備の稼働率を上げることが優先されるのは無理もないなと思うのです.当然,リハビリ室には機器がいっぱいで理学療法士によるストレッチをしようにもそのためのベッドを置くスペースがありません.一方,近所の整形外科にのリハビリ室にはリハビリ装置はわずかしかなく,その代わりにそれなりの人数の理学療法士の先生方が活躍されています.この設備投資判断の違いが治療方針の違いになっているのでしょう.我々患者側がクリニックを選択することも重要ですね.
その整形外科は通勤途中にあり,自宅から通うのはとても非効率なので在宅勤務になってから近所の整形外科に改めて通院することにしたのです.そこでの医師の一言が衝撃でした.レントゲン写真を見て,「これは2~3ヶ月で症状が軽減し,数か月で完治しますと」という予測結果が出されたのです.さらに「首の牽引は効かないでしょ」とも言われ,あまりに的確で,かつこれまでの治療方法を真っ向否定するストレートな発言に少々戸惑ってしまいました.で,その治療法はというと薬を変えることと,ストレッチなのです.薬の服用は最初の2か月くらいでしたので,メインの治療は理学療法士の指導によるストレッチです.最初の数か月はあまり効果実感がなく,半信半疑だったのですが,半年くらい経過したあたりから明らかな効果を感じるようになりました.その後ストレッチに加えて,筋トレによる体幹強化も理学療法士の方からアドバイスをいただきながら実施したので両方の効果だと思いますが,今ではまったくしびれがなくなり,完治することができたのです.理学療法士の先生には感謝感謝です.
治療方法によってこんなにも効果が違うことは驚きですが,その前に同じ整形外科でもなぜこうも治療方針が異なるのかについての疑問があるかと思います.前のクリニックでも首の牽引に効果がなければストレッチへという治療方針の変更があってもよいのではと思うのも当然なのですが,それについてはおそらく経営的に難しいのではないかと思っています.これは推定ですが,その通勤途中のクリニックは首の牽引など,高額そうなリハビリ機器が充実していてそれらへの設備投資は相当額になることは容易に想像がつきます.よって,設備の稼働率を上げることが優先されるのは無理もないなと思うのです.当然,リハビリ室には機器がいっぱいで理学療法士によるストレッチをしようにもそのためのベッドを置くスペースがありません.一方,近所の整形外科にのリハビリ室にはリハビリ装置はわずかしかなく,その代わりにそれなりの人数の理学療法士の先生方が活躍されています.この設備投資判断の違いが治療方針の違いになっているのでしょう.我々患者側がクリニックを選択することも重要ですね.
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