2021年5月 アーカイブ
2021年5月16日 14時15分31秒 (Sun)
基本機能の定義と狙い
基本機能は品質工学の骨格に位置づけられる概念といっても過言ではありません.最新の用語集では、基本機能を「目的機能の達成に用いる技術の基本原理」と定義しています.なんとも漠然としていますね.さらに,目的機能は「顧客の立場で対象システムに要求する機能」とされています.こちらも,わかったようなわからないような漠然とした印象です.ここでは目的機能,基本機能をもう少し明確に定義してみたいと思います.
まず機能から
出力としての計測特性yと,yの値を変化させる入力Mの関係y=F(M)
目的機能の計測特性
お客様がほしいVOCを計測可能な特性yで代用したもの
例)自動車 ほしいVOC:ある地点からある地点まで移動すること y=加速度
加速度を変える入力M:アクセルを踏む量
目的機能のメリット:トータルシステムの評価が可能
目的機能のデメリット:加法性が不十分のため交互作用の影響を受けやすい(と言われている)
基本機能の計測特性
目的機能を実現するメカニズムを記述する因子Xiの中から目的機能の計測特性yを完全に置き換え可能なもの.ここで完全の意味は,評価対象に関して,目的機能の計測特性yと因果関係を持つすべての制御因子と因果関係を持つ因子であることです.これが成立しないと部分最適の方向になってしまいます.
例)自動車の場合 エンジンのシリンダ内部の燃焼現象を記述するセンシングデータ など
基本機能のメリット:加法性が良いので交互作用の影響を受けにくい(と言われている)
基本機能のデメリット:部分最適化になりやすい
基本機能とはエネルギー変換であると定義されることも多いのですが,目的機能を実現するメカニズムはエネルギー変換を計測することで記述できるケースが多いとするのが適切かと思います.なぜならば,基本機能=エネルギー変換としてしまうと用紙搬送のような微小なエネルギーで駆動するシステムではその計測が困難なため基本機能を使うことができないとなってしまうからです.用紙搬送の目的機能の計測特性は速度や移動時間ですが,その基本機能の計測特性は用紙を移動させるメカニズムの良さをセンシングしたものであるとすれば,用紙の挙動などもその対象になります.基本機能を考案する狙いは評価のものさしとしての加法性確保だけではなく,目的機能を実現するメカニズムを把握することによって新たなシステムや制御因子を考案することも狙いの一つなのです.むしろ後者の狙いの方が重要かもしれません.そのための技法がCS-T法です.また,CS-T法,機能性評価,公理設計などの技法を活用する技術開発プロセスを設計するプラットフォームが"T7"です.
まず機能から
出力としての計測特性yと,yの値を変化させる入力Mの関係y=F(M)
目的機能の計測特性
お客様がほしいVOCを計測可能な特性yで代用したもの
例)自動車 ほしいVOC:ある地点からある地点まで移動すること y=加速度
加速度を変える入力M:アクセルを踏む量
目的機能のメリット:トータルシステムの評価が可能
目的機能のデメリット:加法性が不十分のため交互作用の影響を受けやすい(と言われている)
基本機能の計測特性
目的機能を実現するメカニズムを記述する因子Xiの中から目的機能の計測特性yを完全に置き換え可能なもの.ここで完全の意味は,評価対象に関して,目的機能の計測特性yと因果関係を持つすべての制御因子と因果関係を持つ因子であることです.これが成立しないと部分最適の方向になってしまいます.
例)自動車の場合 エンジンのシリンダ内部の燃焼現象を記述するセンシングデータ など
基本機能のメリット:加法性が良いので交互作用の影響を受けにくい(と言われている)
基本機能のデメリット:部分最適化になりやすい
基本機能とはエネルギー変換であると定義されることも多いのですが,目的機能を実現するメカニズムはエネルギー変換を計測することで記述できるケースが多いとするのが適切かと思います.なぜならば,基本機能=エネルギー変換としてしまうと用紙搬送のような微小なエネルギーで駆動するシステムではその計測が困難なため基本機能を使うことができないとなってしまうからです.用紙搬送の目的機能の計測特性は速度や移動時間ですが,その基本機能の計測特性は用紙を移動させるメカニズムの良さをセンシングしたものであるとすれば,用紙の挙動などもその対象になります.基本機能を考案する狙いは評価のものさしとしての加法性確保だけではなく,目的機能を実現するメカニズムを把握することによって新たなシステムや制御因子を考案することも狙いの一つなのです.むしろ後者の狙いの方が重要かもしれません.そのための技法がCS-T法です.また,CS-T法,機能性評価,公理設計などの技法を活用する技術開発プロセスを設計するプラットフォームが"T7"です.
2021年5月7日 17時13分23秒 (Fri)
方針管理と日米企業
前々回は商品開発プロセス研究会の成果である技術開発プロセスを設計するプラットフォーム"T7"を紹介しました.今回は次の研究テーマの一つである「創造性と効率性を両立する技術開発プロセスを実現するマネジメント」について触れてみたいと思います.最初にこの研究テーマを設定した背景について説明します."T7"は効果的なプラットフォームであると期待していますが,どんなに優れたアプローチや技法でも,それを実施すること自体を目的化してしまうと形骸化が進行し,効果が得られないばかりか,効果もなく面倒なだけの技法など二度と使いたくないという方々が大多数となってしまいます.そして,活用者は一部のみという状況になってしまいます.このような状況にならないようにするためには"T7"を手段として位置付けて,より上位の目的を設定するマネジメントの仕組みが必要です.その仕組みとして「方針管理」に注目しました.方針管理の骨格は,権限移譲による自律的活動を通じた人材育成とチームワークによる改革の実現です.
かつて多くの日本企業は方針管理を自社のマネジメントに効果的に取り入れていたのですが,方針管理は現在多くの日本企業が取り入れている米国流の短期の個人成果を重視した成果主義マネジメントとの相性が悪いのでうまく機能しないのではという懸念があります.
自律型人材によるチームワークを実現することが方針管理のマネジメントを効果的に実践するキーポイントなのですが,なぜ日本企業はそれが難しいのか.それを見事に説明してくれたのが京都大学の内田由紀子教授です.
https://www.youtube.com/watch?v=b3uwqHVtiJU
自律性と社会関係資本の2軸による4つのカテゴリーの中で,左上の「高い自律性かつ高い社会関係資本」が理想です.かつての日本企業は左下の「低い自律性かつ高い社会関係資本」でしたが,大多数の企業が左上の理想に向かわずに右上の「高い自律性かつ低い社会関係資本」に移行しています.一方,北米企業の多くは右上の「高い自律性かつ低い社会関係資本」から左上の「高い自律性かつ高い社会関係資本」に移行しています.このことは80年代に日本から品質管理を学んだ欧米企業が,それを自分達流にアレンジしてDFSS(Design For Six Sigma)などの新しいプロセスに再構築した流れと見事に対応します.DFSSのプロセスを効果的に実行するためには自律した技術者がチームワークを実践することが大前提なのです.DFSSは自律した個人が集まってチームワークを実現する手段という見方もできます.
米国企業は日本から学び理想の状態に到達した一方で,日本企業は米国から学びかつての米国企業のレベルに到達(劣化?)したということかもしれません.外部の取り組みを表面的に真似るのではなく,その本質を理解した上で自分たち流にアレンジする姿勢が必要かと思います.そして実はその本質はかつての日本企業にあったようにも思うのです.
かつて多くの日本企業は方針管理を自社のマネジメントに効果的に取り入れていたのですが,方針管理は現在多くの日本企業が取り入れている米国流の短期の個人成果を重視した成果主義マネジメントとの相性が悪いのでうまく機能しないのではという懸念があります.
自律型人材によるチームワークを実現することが方針管理のマネジメントを効果的に実践するキーポイントなのですが,なぜ日本企業はそれが難しいのか.それを見事に説明してくれたのが京都大学の内田由紀子教授です.
https://www.youtube.com/watch?v=b3uwqHVtiJU
自律性と社会関係資本の2軸による4つのカテゴリーの中で,左上の「高い自律性かつ高い社会関係資本」が理想です.かつての日本企業は左下の「低い自律性かつ高い社会関係資本」でしたが,大多数の企業が左上の理想に向かわずに右上の「高い自律性かつ低い社会関係資本」に移行しています.一方,北米企業の多くは右上の「高い自律性かつ低い社会関係資本」から左上の「高い自律性かつ高い社会関係資本」に移行しています.このことは80年代に日本から品質管理を学んだ欧米企業が,それを自分達流にアレンジしてDFSS(Design For Six Sigma)などの新しいプロセスに再構築した流れと見事に対応します.DFSSのプロセスを効果的に実行するためには自律した技術者がチームワークを実践することが大前提なのです.DFSSは自律した個人が集まってチームワークを実現する手段という見方もできます.
米国企業は日本から学び理想の状態に到達した一方で,日本企業は米国から学びかつての米国企業のレベルに到達(劣化?)したということかもしれません.外部の取り組みを表面的に真似るのではなく,その本質を理解した上で自分たち流にアレンジする姿勢が必要かと思います.そして実はその本質はかつての日本企業にあったようにも思うのです.
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