2022年9月 アーカイブ
2022年9月3日 14時27分37秒 (Sat)
第18回 日本TRIZシンポジウムに参加しました その3
QFD,TRIZ,タグチの融合についても思うところがあったので述べてみたいと思います.この3つの技法の融合効果の可能性についてはずいぶん前に提案されていたことで新しいことではありませんが,その後現在に至るまでこの領域の研究や実践が進んでないのが実態であり,この3技法以外も含めたトータルな技術開発プロセスの構築が大きな課題であると認識しています.その成果の一つが本HPでも紹介している「技術開発プロセスを設計するプラットフォームT7」です.ここでは,T7の応用の方向性の一つとして,この3技法の新たな融合の可能性について述べてみたいと思います.
従来のQFD,TRIZ,タグチの融合は以下のステップをイメージしていました.
Step1 QFDでVOCを選定
Step2 TRIZでVOCを実現する技術手段(システム)を考案
Step3 タグチでシステムのロバスト性を最適化
このプロセスではTRIZの次にタグチ実施となっていますが,その前提にはある程度の技術蓄積があるということがあると思うのです.TRIZ活用の出発点で,問題の本質を見える化するために技術的な矛盾を定義しますが,技術的な矛盾が定義できる状態にあるということは,その技術に関してある程度以上にメカニズムを把握していることが前提となるかと思います.別の言い方をすると,CS-T法における現象説明因子と目的機能の因果関係が把握できているということです.これができるのは既存製品の問題点を解決するケースであり,問題解決では上に示した3つのStepが有効になるのではないかと思うのです.
新規技術の技術開発の初期段階では,目的機能を実現する下位機能(公理設計のFnctional Requiement)が十分に考案されてない,あるいは重要な下位機能が特定されていないケースがほとんどです.この段階での活動の質が技術開発の成功率を決めるのですが,この段階で問題の本質を誤って定義してしまうと技術開発の方向性を誤ってしまうことになります.それを避けるためにも最初にCS-T法を実施し,性能とロバスト性の改善効果のメカニズムを把握し,そこから現象説明因子領域で矛盾を定義する.その後にTRIZを実施することで,新たなシステム考案の的確性が高まると思うのです.ニコン時代のLIMDOW-MOの技術開発やリコーでのVCSELレーザー開発での経験からもこのように思うのです.来年1月に開催される日本TRIZ協会と品質工学会の共催イベントで情報共有したいと思います.
従来のQFD,TRIZ,タグチの融合は以下のステップをイメージしていました.
Step1 QFDでVOCを選定
Step2 TRIZでVOCを実現する技術手段(システム)を考案
Step3 タグチでシステムのロバスト性を最適化
このプロセスではTRIZの次にタグチ実施となっていますが,その前提にはある程度の技術蓄積があるということがあると思うのです.TRIZ活用の出発点で,問題の本質を見える化するために技術的な矛盾を定義しますが,技術的な矛盾が定義できる状態にあるということは,その技術に関してある程度以上にメカニズムを把握していることが前提となるかと思います.別の言い方をすると,CS-T法における現象説明因子と目的機能の因果関係が把握できているということです.これができるのは既存製品の問題点を解決するケースであり,問題解決では上に示した3つのStepが有効になるのではないかと思うのです.
新規技術の技術開発の初期段階では,目的機能を実現する下位機能(公理設計のFnctional Requiement)が十分に考案されてない,あるいは重要な下位機能が特定されていないケースがほとんどです.この段階での活動の質が技術開発の成功率を決めるのですが,この段階で問題の本質を誤って定義してしまうと技術開発の方向性を誤ってしまうことになります.それを避けるためにも最初にCS-T法を実施し,性能とロバスト性の改善効果のメカニズムを把握し,そこから現象説明因子領域で矛盾を定義する.その後にTRIZを実施することで,新たなシステム考案の的確性が高まると思うのです.ニコン時代のLIMDOW-MOの技術開発やリコーでのVCSELレーザー開発での経験からもこのように思うのです.来年1月に開催される日本TRIZ協会と品質工学会の共催イベントで情報共有したいと思います.
2022年9月3日 14時21分31秒 (Sat)
第18回 日本TRIZシンポジウムに参加しました その2
今回のシンポジウムでは,特別講演で三菱電機の平岡様から「20年以上続く冷蔵庫の機能 切れちゃう冷凍の開発」というタイトルでのプレゼンがあり,トップダウンとボトムアップのVOC発想に関して,新たな気づきがありましたので,それについても触れてみたいと思います.冷蔵庫の提供価値はいかに多くの冷凍食品を長く保存するかであり,できるだけ大きな冷凍容量の確保を目指すことが一般的です.もちろん多くの食品を冷凍できることは価値ではありますが,それは顕在化されたニーズであり,各社とも同様に技術開発しているので,どうしても横並び競争になってしまいます.
そこで,表面的なニーズではなく,本質的ニーズを発想し,新たな価値提供を実現したという点が素晴らしいと感じました.ポイントは,冷蔵庫の提供価値は時間を創ることであると再定義し,冷凍保存だけではなく,料理工程すべてを価値提供対象としたことです.そして,冷凍保存した肉などの食材を取り出した後のシーンを創造した結果として,”肉を切る”という工程に潜在ニーズがあると発想し,ほどよい凍結で凍っていても包丁で切れる冷凍技術を完成し,商品化したという流れが素晴らしいと感じました.
内容的にはトップダウンの要素が強調されていたので,それに関して質問をさせていただいたところ,実際には市場の声などの情報を活用したボトムアップ活動をベースとして,「時間を創る」という新たな価値を再定義したとのことでした.この事例からもボトムアップの福原流QFDとトップダウン技法を融合した製品企画の可能性を感じることができました.
そこで,表面的なニーズではなく,本質的ニーズを発想し,新たな価値提供を実現したという点が素晴らしいと感じました.ポイントは,冷蔵庫の提供価値は時間を創ることであると再定義し,冷凍保存だけではなく,料理工程すべてを価値提供対象としたことです.そして,冷凍保存した肉などの食材を取り出した後のシーンを創造した結果として,”肉を切る”という工程に潜在ニーズがあると発想し,ほどよい凍結で凍っていても包丁で切れる冷凍技術を完成し,商品化したという流れが素晴らしいと感じました.
内容的にはトップダウンの要素が強調されていたので,それに関して質問をさせていただいたところ,実際には市場の声などの情報を活用したボトムアップ活動をベースとして,「時間を創る」という新たな価値を再定義したとのことでした.この事例からもボトムアップの福原流QFDとトップダウン技法を融合した製品企画の可能性を感じることができました.
2022年9月3日 13時19分29秒 (Sat)
第18回 日本TRIZシンポジウムに参加しました その1
品質工学会からの代表として昨年に引き続き今年度も日本TRIZシンポジウムに参加しました.
9月1日と2日の2日間で,チュートリアル,2件の基調講演と特別講演,一般発表14件の発表があり,参加者は約40名と品質工学の大会に比べると少ないですが,その分内容の濃い議論が展開されていると感じました.今回のシンポジウムで印象に残ったことを述べてみたいと思います.
参加して印象に残ったことの1つ目は,顧客ニースを重視していることです.これまでTRIZは技術手段の発想技法と思っていましたが,それだけではなく未来のニーズを考案する9画面法というアプローチがあり,実務活用されていると聞いて素晴らしいと感じました.チュートリアルで9画面法を学びましたが,福原流QFDと融合することで,より効果的になると直感したので,それについて述べてみたいと思います.
福原流QFDはボトムアップ型で,お客様の生の声であるRaw Voiceを真のニーズのVOCに変換し,変換した多数のVOCを親和図法で抽象度を上げてツリー図に整理します.さらに技術特性との因果関係を二元表で整理し,品質表を完成させます.一方,9画面法はトップダウン型で数年後の大きなニーズを創造します.
両社は異なるアプローチなので,技法レベルで融合しても新たな効果は得られないかもしれませんが,製品企画段階で両者の結果を融合する効果は大きいと思います.福原流QFDで完成させた品質表を活用した製品企画では,品質表にある多数のVOCの中から次世代の製品などで重点化すべきVOCをアセスメントで決定します.具体的には競合状況や関係者のアンケートなどを実施して,重点VOCを決定し製品仕様にします.このアセスメントの項目の一つに9画面法で発想した将来のニーズを追加することで,将来まで見据えたよりよい製品企画になると思います.
9月1日と2日の2日間で,チュートリアル,2件の基調講演と特別講演,一般発表14件の発表があり,参加者は約40名と品質工学の大会に比べると少ないですが,その分内容の濃い議論が展開されていると感じました.今回のシンポジウムで印象に残ったことを述べてみたいと思います.
参加して印象に残ったことの1つ目は,顧客ニースを重視していることです.これまでTRIZは技術手段の発想技法と思っていましたが,それだけではなく未来のニーズを考案する9画面法というアプローチがあり,実務活用されていると聞いて素晴らしいと感じました.チュートリアルで9画面法を学びましたが,福原流QFDと融合することで,より効果的になると直感したので,それについて述べてみたいと思います.
福原流QFDはボトムアップ型で,お客様の生の声であるRaw Voiceを真のニーズのVOCに変換し,変換した多数のVOCを親和図法で抽象度を上げてツリー図に整理します.さらに技術特性との因果関係を二元表で整理し,品質表を完成させます.一方,9画面法はトップダウン型で数年後の大きなニーズを創造します.
両社は異なるアプローチなので,技法レベルで融合しても新たな効果は得られないかもしれませんが,製品企画段階で両者の結果を融合する効果は大きいと思います.福原流QFDで完成させた品質表を活用した製品企画では,品質表にある多数のVOCの中から次世代の製品などで重点化すべきVOCをアセスメントで決定します.具体的には競合状況や関係者のアンケートなどを実施して,重点VOCを決定し製品仕様にします.このアセスメントの項目の一つに9画面法で発想した将来のニーズを追加することで,将来まで見据えたよりよい製品企画になると思います.
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