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2022年9月3日 14時21分31秒 (Sat)

第18回 日本TRIZシンポジウムに参加しました その2

今回のシンポジウムでは,特別講演で三菱電機の平岡様から「20年以上続く冷蔵庫の機能 切れちゃう冷凍の開発」というタイトルでのプレゼンがあり,トップダウンとボトムアップのVOC発想に関して,新たな気づきがありましたので,それについても触れてみたいと思います.冷蔵庫の提供価値はいかに多くの冷凍食品を長く保存するかであり,できるだけ大きな冷凍容量の確保を目指すことが一般的です.もちろん多くの食品を冷凍できることは価値ではありますが,それは顕在化されたニーズであり,各社とも同様に技術開発しているので,どうしても横並び競争になってしまいます.

そこで,表面的なニーズではなく,本質的ニーズを発想し,新たな価値提供を実現したという点が素晴らしいと感じました.ポイントは,冷蔵庫の提供価値は時間を創ることであると再定義し,冷凍保存だけではなく,料理工程すべてを価値提供対象としたことです.そして,冷凍保存した肉などの食材を取り出した後のシーンを創造した結果として,”肉を切る”という工程に潜在ニーズがあると発想し,ほどよい凍結で凍っていても包丁で切れる冷凍技術を完成し,商品化したという流れが素晴らしいと感じました.

内容的にはトップダウンの要素が強調されていたので,それに関して質問をさせていただいたところ,実際には市場の声などの情報を活用したボトムアップ活動をベースとして,「時間を創る」という新たな価値を再定義したとのことでした.この事例からもボトムアップの福原流QFDとトップダウン技法を融合した製品企画の可能性を感じることができました.

2022年9月3日 13時19分29秒 (Sat)

第18回 日本TRIZシンポジウムに参加しました その1

品質工学会からの代表として昨年に引き続き今年度も日本TRIZシンポジウムに参加しました.
9月1日と2日の2日間で,チュートリアル,2件の基調講演と特別講演,
一般発表14件の発表があり,参加者は約40名と品質工学の大会に比べると少ないですが,その分内容の濃い議論が展開されていると感じました.今回のシンポジウムで印象に残ったことを述べてみたいと思います.

参加して印象に残ったことの1つ目は,顧客ニースを重視していることです.これまでTRIZは技術手段の発想技法と思っていましたが,それだけではなく未来のニーズを考案する9画面法というアプローチがあり,実務活用されていると聞いて素晴らしいと感じました.チュートリアルで9画面法を学びましたが,福原流QFDと融合することで,より効果的になると直感したので,それについて述べてみたいと思います.

福原流QFDはボトムアップ型で,お客様の生の声であるRaw Voiceを真のニーズのVOCに変換し,変換した多数のVOCを親和図法で抽象度を上げてツリー図に整理します.さらに技術特性との因果関係を二元表で整理し,品質表を完成させます.一方,9画面法はトップダウン型で数年後の大きなニーズを創造します.

両社は異なるアプローチなので,技法レベルで融合しても新たな効果は得られないかもしれませんが,製品企画段階で両者の結果を融合する効果は大きいと思います.福原流QFDで完成させた品質表を活用した製品企画では,品質表にある多数のVOCの中から次世代の製品などで重点化すべきVOCをアセスメントで決定します.具体的には競合状況や関係者のアンケートなどを実施して,重点VOCを決定し製品仕様にします.このアセスメントの項目の一つに9画面法で発想した将来のニーズを追加することで,将来まで見据えたよりよい製品企画になると思います.




 

2022年6月16日 17時01分03秒 (Thu)

手法・技法・仕組み その2

 かつての欧米企業は個人の自律的な力が重視され,結果が良ければプロセスは問わないというマネジメントが主流でした.しかし,1980年代以降,日本製造業の国際競争力が高まり,多くの欧米企業が日本に注目し日本から学んだのです.日本から学んだ最も重要なことが「良いプロセスが良い結果を継続的に生み出す」という考え方であったと思います.よいプロセスとは,例えばTQMや方針管理のような全体最適化を取り入れた組織活動です.欧米企業はタグチメソッドやQFDなどの技法やTQMや方針管理などの仕組みを日本から学び,それを自分達流にアレンジしてDFSSなどの技術開発の仕組みを構築し,実践活用しています.

 その一方で,失われた30年間で多くの日本企業は,かつての欧米企業の合理主義経営の考え方を良しとし,結果が良ければプロセスは問わないマネジメントを導入しました.本来のマネジメントとは,結果の責任を問うことではなく,良い結果を生み出す仕組みや技法を活用できる人財を育成することにあると私は思います.人財が良い結果を継続的に生み原動力です.今,日本の製造業は欧米企業から学び,自分達に合ったよりよい技術開発の仕組みを構築することが求められています.技術開発プロセスを設計するT7は,日本製造業がかつての輝きを再び取り戻す手段になると期待しています.

2022年4月20日 10時22分23秒 (Wed)

手法・技法・仕組み その1

 技術領域で活用されるツールや方法論は様々あります.例えば,品質工学分野ではパラメータ設計,機能性評価,許容差設計,MT法,T法から最近ではCS-T法も活用が進んでいます.品質工学分野以外では,QFD,TRIZ,実験計画法,多変量解析,統計的検定,等々たくさんの方法論やツールが存在します.これらのツールや方法論を有効活用活するためには,各ツールや方法論の特徴を理解した上で,マネジメントの関与のレベルや活用の時間軸の設定をしていく必要があります.かつて,多くの企業がパラメータ設計を中心とする品質工学の推進をトップダウンで進めましたが,トップダウン体制がなくなると活用が激減してしまうという企業がほとんどという現実があります.つまり,効果を実感して,リピーターとなってくれる技術者が少ないという現実があるのです.この事実をしっかりと受け止めて,今後に生かすことも品質工学会としての重要な取り組みになります.
 
 エネルギー比型SN比,CS-T法,T7など品質工学は現在でも進化しており,従来以上の活用効果が期待できるようになったきました.是非とも多くの技術者の皆様に活用してほしいと願っておりますが,活用方法を誤ると効果実感なく,リピータになってくれないという過去の失敗を繰り返してしまうかもしれません.それを避けるために,各ツールや方法論を手法・技法・仕組みという切り口で分類することが有効であろうと考えています.以下にこの3つの違いを簡単に説明します.

手法:正しい手順に従って正しい結果を得るツール 
技法:アレンジや工夫をすることによって役立つ結果を得るツールや方法論 
仕組み:意思決定を含むプロセス

2022年3月13日 18時53分25秒 (Sun)

第32回 企業交流会報告 その3

 未来工業の経営理念である「社員全員が常に考える」について考えてみたいと思います.常に考えると似たような経営理念を掲げる企業は少なくないでしょうが,ここでも未来工業の”考える”は一味違うと思うのです.例えば,製品設計段階で試作品を作り,品質評価をしたところ不具合が顕在化したケースで,その原因を考えるのは当然のことであり,こういう意味での考えるを日常的に実施するのは当然のことでしょう.しかし,このような見えている問題を分析するような帰納的なアプローチや,理論から結果を推定する演繹的なアプローチの次元を超えた”考える”を実践しているのが未来工業だと思います.
 それはお客様のニーズを考えることであると思うのです.ここでのニーズはお客様が言葉にしない,あるいは気づいていない潜在ニーズです.実際に製品を使ってみて見えてきた不具合,つまりクレームに対応するのであればニーズを考える必要はありません.帰納的あるいは演繹的なアプローチで考えて不具合現象を把握し,対策を打つことで問題を対策できます.未来工業の”考える”はそのような次元ではなく,お客様の利用シーンの想像し,さらにシーンから真のニーズであるVOCを創造し,最後にVOCを実現する技術手段を考案する.この想像,創造,考案の3つのステップを”考える”と表現しているのだと思うのです.これができるからこそ,提案型の事業が実現し,会社が成長するのです.
 最近はAIやビッグデータのような流行りのツールと使えば,お客様のニーズを抽出できると思われている方が多いと感じますが,私はそのような魔法のツールは存在しないと思います.このことをソニーのウオークマンで考えてみます.当時は自宅の中でカセットテープレコーダで録音した音楽を聴くスタイルが当たり前でした.その当時に,仮にAIツールが存在していたら,お客様の発言に関する膨大な言語空間から,「この製品は音質はいいけど,大きくて重いな」という情報を抽出することは容易でしょう.このようなお客様の生の声を原始情報と呼ぶことがあります.この原始情報を,何も考えずにそのまま受け入れてしまうと,実現手段は小型で高音質のスピーカーを開発するという方針となり,各社横並びの当たり前の製品しか提供できなくなってしまいます.これは提案型の製品とは言えません.この原始情報からシーンを想像し,「外で歩きながら高音質の音楽を聴きたい」という真の潜在ニーズのVOCを創造できれば,その手段としてのウオークマンを考案できる可能性が高まります.これを全社員が実践しているのが未来工業です.前回の信頼ベースの社員の自律と同様に,そう簡単に真似ることができません.これもまた、当たり前だけど気づかない,また簡単には真似できない経営戦略だと思います.
 未来工業がこのような経営戦略を実現できている大きな要因が,元々は劇団から出発した組織だったことではないかとも思うのです.劇団はまさに提案型の事業であり,お客様からストーリーや振り付けを聞いて,それを忠実に再現するようなアプローチではお客様に感動を届けることはできません.お客様の期待を超えることが劇団という組織が目指す方向であることは当然のことのはずです.多くの企業で当たり前となっている,お客様企業やお客様からの要求に対応した製品を提供するビジネススタイルでは事業を成長させることができない,そのことはおそらく劇団文化の未来工業からすれば当然のことのように見えると思うのです.

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TETSU
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品質工学でブレークスルー
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