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2021年9月19日 11時38分24秒 (Sun)

ICRQE2021報告 その1

品質工学の国際大会「ICRQE2021」が開催されています.前々回のインド・ムンバイ,前回のマレーシア・クアラルンプールに続いて今年は初めての日本での開催です.当初は2020年の品質工学大会RQESと同時並行開催の予定でしたが,コロナの影響で中止となったため今回のリモート開催となりましたが,リアル開催よりも素晴らしい大会になったと思います.実は本大会を開催するために,品質工学会のイベント企画実行の主力メンバーが参加して,2020年10月からリモート開催の実行員会を組織化し,約1年の準備期間を経て今回の開催に至ったのです.この品質工学会の実行員会メンバーが立案した構成とノウハウを今後のICRQE大会で活かしていく予定です.以下が本大会のプログラムです.
Sep.10-17  Web Discussion (YouTube and slack)
Sep.17 AM  Live Discussion (Zoom)
Sep.17-24  Web Discussion (YouTube and slack)
今回のICRQEで他のリモート大会にはないユニークかつ効果的な企画がWeb Discussionであったと感じています.通常の大会ではライブで発表するか,事前に録画したおいた資料を当日にライブ配信するかのどちらかの方法としますが,日本,米国,マレーシア,中国,インド,欧州と世界中からの参加となると時差の問題があり,リアルタイム開催は困難となります.時差の問題を回避して世界中からの参加を可能とするためのWeb Discussionでしたが,これが10/17のLive Discussionの内容を理解する事前準備期間となりました.日本時間の9時から開催したZoomライブには世界中から 約80名の皆様が参加していただき,とても盛り上がり大盛況でした.コロナ終息後もこのような大会が一般化するのではないかと思います.
http://icrqe.rqes.or.jp/icrqe2021/icrqe2021.html



 

2021年8月15日 16時19分25秒 (Sun)

第32回企業交流会 講演及び発表の概要

(1)特別講演 「日本一労働時間が短い“超ホワイト企業”は利益率業界一」 
未来工業㈱ 社長 山田雅裕

成果主義禁止,ノルマ禁止,ホウレンソウ禁止,上からの管理をなくして徹底的に社員を信頼して任せる,等々,多くの企業が米国流の合理主義マネジメントを取り入れる中で真っ向から逆の経営をされて大きな成果を上げておられる未来工業㈱の経営やマネジメントについて山田社長から語っていただきます.多くのヒントや気づきが得られること間違いなしです.


(2)基調講演 「新たなビジネスの創出を目指し、車載電装品の提案型ビジネスの構築と顧客満足の実現を!」
アルプスアルパイン㈱ 元技術顧問 澤田謙次 

 1970年代に起こった激動のオイルショックは,アルプスアルパイン(株)(旧アルプス電気(株)、ALAPと省略する)にとって,民生用部品メーカーからの大きな変革を求められる時代の始まりであった.その中で自動車用車載電装品という新たな市場に参入するにあたり,自動車メーカーとユーザーの満足に根差した商品開発とビジネスの構築により,その後のALAP売上増に寄与することが出来た.その実現におけるビジネスプロセスの中で開発設計の立場で「顧客に満足頂ける商品開発と提案型ビジネスの実行」をどのように実行して来たかを現場で体感した立場でお話しする.
      

(3)事例1 「人の感性に訴える魚釣り用リールの究極の巻き心地を求めて
-基本機能による創造的開発の可能性-」
㈱シマノ 井上徹夫

 魚釣り用リールには,ドラグ性能,防水性などの様々な機能が求められ,特にハンドル巻き心地への
要求が高い.しかし,ハンドル回転時にはギヤ対のかみ合いから振動が発生し,その振動が大きい場合
はリールの巻き心地が悪化する.本報では,リール巻き心地の基本機能を,入力と出力のギヤ対回転角
の進み遅れであるかみ合い伝達誤差と定義し,この誤差を極限まで正確に計測することで全く新し
いギヤを創造した事例を報告する. 
 

(4) 事例2   「製品機能向上型開発から市場価値創出型開発への転換による新規市場創出活動」
リコーインダストリアルソリューションズ㈱ 成田博和

前身企業のリコー光学において,マイクロレンズアレイで液晶プロジェクターの明るさ向上にお役立ちし,会社を支える事業として一時代を築いてきた.さらに製品機能や生産技術のブラッシュアップによって新たな市場展開を試み続けてきたが,既存事業にとってかわるような新しい市場の開拓には至らなかった.そこで一度立ち止まって考え,マイクロレンズアレイの機能や役割を市場視点で見つめなおすことで新たな市場展開に光が見え始めた.その活動を紹介する.


(5)事例3 「コマツにおけるダントツものづくりとDXによる顧客価値最大化の取り組み」
Immersive Technologies Pty. Ltd.  浅田寿士

これまでメーカーは市場での生き残りをかけて徹底して品質を作りこむモノづくりに邁進してきましたデジタル革命により社会そのものが大きく変わろうとしている今メーカーは如何に顧客価値創造を行うべきでしょうかお客様が真に求められているゴールをサポートするためモノ・コトをデジタルの力でどう強化していくべきかについてお話しします


 

2021年8月15日 16時15分54秒 (Sun)

第32回企業交流会の狙い

【要求仕様達成型から価値提案型への事業変革】
~ロバスト性と魅力品質の両立確保に向けて~

 これからの時代,グローバル競争が激化する中で,素材や部品メーカーから最終製品のセットメーカーまで含めて,あらゆる分野の製造業において,顧客の期待を超える価値を提供することが今まで以上に強く求められるようになってきました.これまでの品質工学の基本戦略である上流でのロバスト性確保はもちろんのこととして,それに加えて,顧客の期待を超える一元品質や魅力品質も同時に実現する時代の到来です.当たり前品質であるロバスト性を確保しながら顧客の期待を超えるために,従来の品質工学の枠組みを超える技法の活用や新たなマネジメントの必要性が高まっています.
 今回の企業交流会ではメインテーマを「要求仕様達成型から価値提案型への事業変革」とし,部品メーカーがセットメーカーに新たな価値を提供する,製品提供後に継続的に顧客に価値を提供する等,顧客への新たな価値提供に関する発表と討論を行います.また,ロバストネス確保に加えて顧客の期待を超える商品を継続的に提供するためのマネジメントの在り方についても発表と討論を予定しております.

 

2021年8月15日 15時35分38秒 (Sun)

第32回企業交流会開催の背景とプログラム

 品質工学会の事業部長に就任してから最も困難が予想されたのが企業交流会の企画立案とその開催の実現でした.前々回のマツダ,前回のJAXAの企業交流会では100名以上の皆様に参加していただき大盛況だったのですが,その後は開催を許諾していくれる企業が現れない状態が続いているのです.実はこれは個人的には予想していたことです.ここには品質工学を組織的に導入する企業が少なくなった,すでに社内で必要に応じて品質工学を使っているので新たに学ぶことがない,等々いくつかの要因があると思います.たしかに各企業での品質工学の活用が十分であれば企業交流会の役割は完了したとしてもよいでしょう.しかしながら品質工学の狙いを理解した上で有効活用し,成果を継続している企業は多くはないと思います.さらには新しい品質工学の技法や考え方についてはその情報を把握している企業は極めて少数でしょう.このような認識の下で,この状況を打開することを企業交流会を開催する目的として再定義しました.新しい技法を含めて品質工学の有効性を多くの企業様に再認識していただくことを狙いとしたのです.その最初の企業交流会のプログラムが決定したので共有します.

日時:2022.01.22  リモート開催
テーマ:要求仕様達成型から価値提案型への事業変革
顕在化された顧客要求に対応するだけではなく,部品メーカーがセットメーカーに新たな価値を提供する,製品提供後に継続的に顧客に価値を提供する等,顧客への新たな価値提供に関する発表と討論を行います.また,ロバストネス確保に加えて顧客の期待を超える商品を継続的に提供するためのマネジメントの在り方についても発表と討論を予定しております.

プログラム
10:00 開会挨拶 品質工学会会長  椿広計
10:10 特別講演 
「日本一労働時間が短い“超ホワイト企業”は利益率業界一」
          未来工業㈱ 社長 山田雅裕 
11:35  基調講演 
「新たなビジネスの創出を目指し、車載電装品の提案型ビジネスの構築と顧
客満足の実現を!」
          元アルプスアルパイン㈱ 技術本部・顧問 澤田謙次
12:30  昼休憩
13:30  事例発表 
(1)人の感性に訴える魚釣り用リールの究極の巻き心地を求めて
-基本機能による創造的開発の可能性-
      ㈱シマノ 井上徹夫
(2)製品機能向上型開発から市場価値創出型開発への転換による新規市場創出活動     
           リコーインダストリアルソリューションズ㈱ 成田博和

(3)コマツにおけるダントツものづくりとDXによる顧客価値最大化の取り組み     
          Immersive Technologies Pty. Ltd. 浅田寿士     
15:15 パネルディスカッション   
     「要求仕様達成型から価値提案型への事業変革」
~価値創造を実現する技法活用とマネジメントの在り方~
          司会:TM実践塾代表 芝野広志
          パネリスト: 講演者,事例発表者
16:50  閉会挨拶

2021年8月14日 14時51分29秒 (Sat)

商品開発プロセス研究会WG2 今後の研究

 WG2の研究活動は欧米から謙虚に学ぶと同時にJapan as No.1と言われていたころの日本の強みを再認識するところにも特長があります.WG2での議論の中で共有化された最近の日本企業の課題についても触れたいと思います.品質工学の活用はR&Dなど製品化プロセスの上流に行くほど効果が大きくなります.

 ところが,上流段階での品質工学の活用が進まない実態があるのです.上流活用の本質は失敗の加速と失敗からの有益な情報獲得にありますが,これが短期成果主義マネジメントと相性が悪いのです.欧米企業がかつての日本企業から学び,それをDFSSなどの仕組みとして再構築した一方で,日本企業はかつての欧米企業の合理主義経営を導入し,創造性と効率性の両立という意味で周回遅れ状態になってしまったと思うのです.この状態でT7の導入を推進するとT7が短期成果の手段とされてしまい件数管理などの形骸化が懸念されます.それを避けるためにより大きな経営目標を設定し,それを実現する手段としてT7を位置付ける方針管理の再導入が有効ではないかと考えています.今後は品質工学やT7を経営課題を解決する手段として位置付けるための方針管理の方法について研究を進めていきます.経営マネジメントの関与も含めたトータルな技術開発プロセスの構築と言ってよいでしょう.

 

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