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2021年2月22日 15時56分46秒 (Mon)

大高製作所のフェイスシールド

2/19に開催されたものづくりドットコムの熊坂さん主催のZoom懇親会ですばらしい話を聞きました.
https://www.monodukuri.com/pages/about_us
毎回Zoomのブレークアウト機能を使って4名くらいの雑談会を開催するのですが,そこでご一緒した大高製作所の大高社長のお話にとても感動したのこの場で共有します.大高製作所はたった4名の会社で金型の開発製造で貢献しているのですが,コロナ禍の中で事業が厳しくなってしまいました.そこで自社の技術を活用して,コロナ禍の中で新たな価値を提供しようといろいろな発想をした中で,マスクを提供できないかと考えたそうです.しかしながら特殊な紙や布を素材とする製品は自社ではとてもできないということで,マスクではなくフェースシールドに注目したのです.そして実際に市販のフェースシールドを試しながら,どうも使いづらい,もっと使いやすくならないかと思考を重ねていく過程で180度ひっくりかえそうという発想に到達しました.この自由な発想力がすばらしいのですが,ここから先がさらにすごいのです.それは発想から事業化の意思決定のスピードです.自分達がその発想の価値に納得できたら,その後は簡単な仮説検証で事業化フェーズに入るというスピード感です.
https://www.otaka-ss.jp/faceshield/
意思決定の遅さが日本の大企業製造業の弱点と言われていますが,大高社長と話しをしていてスタートアップや小規模な会社の意思決定のスピードにはとてもかなわないことを実感しました.弊社でも自社が持っているシーズ技術を活用して新たな市場を創造する活動をスタートさせました.
http://www.juse.or.jp/src/mailnews/detail.php?im_id=133
この取り組みを通じて,新たな価値の発想やその価値を歓迎してくれる市場創造に関しては十分な手応えを感じることができたのですが,事業化のためのリソース投入の意思決定は相変わらず課題として残ったままなのです.事業化の意思決定のスピードは大高製作所にはとてもかないません.

2021年2月12日 17時18分42秒 (Fri)

商品開発プロセス研究会WG2の活動のゴールが見えてきました

2019年春から品質工学会と品質管理学会の共同研究会「商品開発プロセス研究会」がスタートし,3つのWG活動を継続しています.その中のWG-2「創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの構築」のゴールが見えてきました.これまでの流れを振り返ると以下となります.

Step1
DFSS(Design For Six Sigma)の理解

Step2
DFSSと品質工学の技法の融合検討 
・日本品質管理学会 第49回年次大会 (2019.11)で発表

Step3
DFSSの技術開発プロセスをさらに効果的にするために追加すべき品質工学の技法や考え方の提案
・日本品質管理学会 第50回年次大会(2020.11)で発表

Step4
Step3で追加した各技法を含めた全技法の関係性を体系化
シーズ技術起点の市場創造アプローチの提案
・第13回品質工学技術戦略研究発表大会(2020.11)で発表

Step5
創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの提案
・今年の6月の品質工学研究発表大会で発表予定

以下に技術開発プロセスの概要を記します

技術開発活動は以下の7つの要素からなる.
そして各要素に技法が対応する.

1.目標設定と評価 Decision
2.モデル化 Modeling
3.分析 Analysis
4.概念化 Conceptualization
5.(サブ)システム考案 Design Concept Generation
6.市場の創造 New Market Generation
7.製品仕様決定 Define Specification

ここで,1,7がマネジメント領域の活動であり,2~6が技術者の自律的活動領域である.
技術者の活動領域は2,3の左脳的活動と3~5の右脳的活動に分けられる.技術開発プロセスとしては右脳活動と左脳活動を効果的に両立させることが重要となる.例えば,メカ系の技術開発では右脳活動の実施後に左脳活動を実施する一方で,材料デバイス系の技術開発では左脳活動を先行させて,そこで得られた技術情報を右脳活動に活かす等,技術分野やテーマの状況に応じて7つの要素の実施順番を最適に計画する.この際に7つの要素全てを実施する必要はなく,これもテーマの状況に応じて選択するものとする.

詳細は6月の大会で報告します
 

2021年1月23日 15時14分01秒 (Sat)

狩野モデルで説明する品質工学 その5

次にエネルギー変換効率を“機能レベル/消費エネルギー”と定義し直してみます.
こう定義すると燃費が向上したけど加速性能が落ちてしまっては改善とは言えなくなります.そしてこの定義による自動車のエネルギー変換効率はここ10年で10~30%くらいかと思います.

このエネルギー変換効率の進歩の遅さと環境志向が相まって燃費が最重要なVOCになったという理解も可能かと思います.加速の性能向上なしに投入エネルギーを減らすこと自体が価値を持つ製品,それが自動車ということになるわけです.

一方でHDDのエネルギー変換効率の向上を見ると桁違いです.
HDDでほしいものは記録容量です.
1995年のHDDのエネルギー変換効率=100(MB)/X(mW)
2020年のHDDのエネルギー変換効率=1(TB)/X(mW)

1995年レベルのエネルギー変換効率で1(TB)を実現するためには膨大な電力が必要となり,消費電力が重要なVOCとなるでしょうが,10の何乗倍もエネルギー変換効率が上がっているので消費電力は重要なVOCにはならないわけです.

エネルギー変換は万能であるという考え方もありますが,実際の業務への適用では以下の2点を考慮する必要がありそうです.

・エネルギー変換効率のVOCとしての重要度
・エネルギー変換効率がトータルなロバスト性の改善につながるか

その他,目的機能,基本機能,エネルギー変換の関係などまだ一般的に定義されていない興味深いテーマもありますが,それについては別の機会に・・・

2021年1月23日 14時45分08秒 (Sat)

狩野モデルで説明する品質工学 その4

次にエネルギー変換効率をVOCの視点で考えてみます.

自動車の燃費を一般製品に拡張すると消費電力となります.
ここで一つ気づくことは,家電など一般製品でも消費電力はVOCの一つであることは間違いありませんが,
その要求の大きさは自動車ほどは大きくはないということです.
おそらく消費電力の少なさだけを売りにしてもお客様満足向上にはつながらないでしょう.

さらに言えば,
そもそも燃費を一元的Qにしたところに問題ないかという疑問も湧いてきます.
少なくとも技術的な品質定義では“ほしいもの”を一元Qにすべきではないかと思いますが,
電力やガソリンなどは目的機能を得るために投入される消費エネルギーなのでよく考えるとこれらは“ほしくないもの”です.

自動車のほしいものは,加速,曲がる,減速,
つまり速度ベクトルを変化させることが本質的なほしいものであり,
それを一元Qとして定義するのが本筋ではないかとも思うわけです.

2021年1月23日 14時18分17秒 (Sat)

狩野モデルで説明する品質工学 その3

次にレーザーの場合について考えてみます

レーザーにおけるほしいものyはパワーです
そしてパワ一は当然一元Q
電力投入を増やすことでパワーアップさせることは簡単ですが,同時に耐久性が落ちます
よってロバスト性向上がパワーアップの原動力となります 
ロバスト性自体は必要以上に高めてもお客様満足は向上しないので当たり前Qです
よって両者はここでもトレードオフ関係になります

ここまでは,,
レーザーのパワーアップの手段を投入電力(入力M)を高くすることとしたのでトレードオフになりましたが,
その手段をy=βMのβを高めることとすればエネルギー変換効率の向上となり,
熱などの無駄なエネルギーへの変換が減るので耐久性とパワーアップの両立に向かいます
そしてこのエネルギー変換効率を意味するβは一元Qです
同じレーザーでもこのように考えると自動車の燃費と同じ構図になってきます

このようにロバスト性をエネルギー変換効率として定義すると一元的Qとなり,
ほしいものyとのトレードオフ関係が解消されます

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TETSU
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品質工学でブレークスルー
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