CS-TC法を考案した背景

2019年7月21日 10時02分39秒 (Sun)

RQES2019のCS-T法セッションでの弊社からの2件のプレゼンの中の一つがCS-TC法を制御設計に活用した事例です.CS-TC法はクラスター分析とCS-T法を融合することで用紙種類のような多水準で非連続の誤差因子に対する制御設計を効率化する技法です.印刷業界向けの高速高画質プリンターでは数百もある用紙の銘柄毎に精密搬送の制御条件を決定していましたが,CS-TC法によって用紙物性から各銘柄の用紙の制御条件を高精度に予測することが可能となり,制御設計の工数を大幅に低減することが可能となりました.これまでのCS-T法及びその応用技法であるCS-TG法、AI-Tandem CS-T法は目的特性と現象説明因子の因果関係を把握すること,つまり要因解析を目的としていましたが,CS-TCは予測を目的とした技法です.CS-TC法の詳細は,以下の文献を参照願います.ここではCS-TCを発案した経緯について記したいと思います.

細川哲夫,多田幸司,宮城善一:非連続かつ多水準の誤差因子に対する制御設計方法の提案(クラスター分析とCS-T法の連携),設計工学,Vol.54,No.2,pp.135-144 (2019)
関貴史,細川哲夫,多田幸司,松田祐道:CS-TC法による精密紙搬送制御の精度向上の設計効率化,RQES2019,予稿論文 pp.168-171

CS-T法,CS-TG法,AI Tandem CS-T法はどれも改善とメカニズム把握をコンカレント実施するプロセスを実現するという明確な目的をもって考案した技法ですが,実はCS-TC法はそのような明確な目的を持って考案した技法ではないのです.博士号取得の主査をしていただいた明治大学の宮城教授の研究室では偶然にも用紙物性に関する研究テーマがあり,その計測結果を何らかの企業活動に活用できないかと宮城教授とディスカッションする中から生まれたのがCS-TC法なのです.発案に至るおおよその流れは以下です.

1) 用紙物性をCS-T法の現象説明因子とする
2) 複写プリンタ開発での目的特性の選択 画像と搬送の中から搬送を選択
3) 用紙物性は誤差因子である 誤差因子と搬送の目的特性の因果関係把握することで何か役立つことはないか
4) 誤差因子に対して安定化させることを目的とする制御設計に活用できるのでは
5) CS-Tのサンプルはどのように選択するか? 用紙種類は1因子多水準なので直交表割り付けできない
6) 用紙物性を網羅しながら用紙種類を絞り込む クラスター分析が使える

CS-T法はニーズ型開発アプローチで考案しましたが,CS-T法という技法をベースにシーズ型で開発した技法がCS-TC法であるとも言えます.こんなふうにニーズ型とシーズ型を繰り返す発想法も有効かもしれません.

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