品質管理学会 年次大会研究発表会での発表の報告

2020年12月14日 11時22分28秒 (Mon)

11/28に開催された品質管理学会の第50回年次大会研究発表会での発表報告です
タイトル
「WG2 "創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの構築”の活動報告」
(株)リコー 細川哲夫    
マツダ(株) 武重伸秀

本発表は品質工学会と品質管理学会の共同研究会 ”商品開発プロセス研究会”の3つのWGの一つであるWG2の活動報告であり,昨年に引き続き2回目の発表となります.今回はマツダの武重さんと細川の2名で,マツダのスカイアクティブエンジンと私のニコン時代のLIMDOW-MOの媒体の2つの技術開発事例を取り上げて,DFSS (Design For Six Sigma)のプロセスをより良いものにするという提案をしました.以下概要です.

1.研究テーマ設定の狙いとDFSS  
お客様の期待を超える製品を継続的に提供することを目指して,技術開発段階で性能とロバスト性を両立確保すること.より具体的には狩野モデルの一元的品質を圧倒的に高めること,あるいは魅力品質を実現することであるが,一元的品質や魅力品質は当たり前品質とトレードオフ関係にあることが多いので,お客様の期待を超えるためには,結局のところ当たり前品質であるロバスト性を確保することが必須となる.つまり,フロントローディングの実現が狙いである.

2.DFSSのプロセスを改善するための事例研究
2-1 SKYACTIV-Gエンジンの技術開発
①エネルギー変換の基本機能による機能展開(Reverse-FTA) を実施
ガソリンの化学的ポテンシャルエネルギーから回転エネルギーへの変換をべき論展開する
その結果を機能と制御因子の2元表で整理(公理設計)
これによって,1Dや2DのシンプルなCAEを可能とし,また制御因子発想の的確性を高めた.
②公理設計で可視化された技術矛盾や課題からロバスト性確保の重点対象と目標達成ストーリーを決定
ピストン,ライナー回りシリンダーブロック構造,FEAD構造,など
難易度の高い技術開発では失敗はつきもの 
うまくいかない状況と対策を事前想定するためにPDPC(Process Decision Program Chart) を活用
③全員参加で一丸となって技術開発を進めていく
公理設計やPDPCという技法を技術開発の質向上だけではなくコミュニケーションツールという位置づけでも活用する.

2-2 LIMDOW-MOの技術開発
④システム考案のためにロバストパラメータ設計を実施する
パラメータ設計の主目的は最適化による改善とされているが,技術開発段階ではロバスト性と性能の両立性を評価するためにロバストパラメータ設計を活用する.これによって,考案あるいは選択したシステムをトータルに評価する効率性を向上させた.
⑤ロバスト性の改善メカニズムを把握する活動を入れる
材料デバイス領域ではロバストパラメータ設計の実施だけでロバスト性と性能の両立確保することは難しい.ロバストパラメータ設計によって得られたロバスト性改善効果のメカニズムを把握することで新たなシステムを考案する的確性を高めた.

3.まとめ 今後の展開
2つの成功事例から5つの改善項目を見出した.
ここで提案したプロセスや技法を使うことを目的化してはならない.提案した技術開発プロセスを上位の目的を実現するための手段に位置付けるために方針管理の考え方が有効と考える.今後の研究活動を以下に示す.
・DFSSのさらなる改善
・方針管理による技術開発のマネジメント
・企画立案プロセスとの連携(シーズ技術先行)
・複数のサブシステムからなら大規模システムでの技術開発目標の展開と目標達成プロセスの構築

以上

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