今年の品質工学研究発表大会(RQES2021S)で印象に残った事例 その2
2021年7月25日 13時54分31秒 (Sun)
RQES2019Sまで我々リコーから継続してCS-T法の事例を発表してきましたが,今年はCS-T法の事例2件を9月にRQESと共同で開催される国際大会ICRQEで発表します.プログラムを見ると77件のタイトルにCS-T法の名称が一つもなかったので今年のRQES大会ではCS-T法の発表はないと思っていました.ところが予想に反して初日のメインセッション「ITとの結合」の中で日本精工㈱からCS-T法の活用事例が発表されたのです.その活用方法がまさにCS-T法の狙い通りに効果的なものでしたので,ここで共有したいと思います.
テーマ名は「カシメハブ軸受けの金型形状の最適化と新たな制御因子の探索」です.自動車の重要保安部品であるホイール軸受けユニットの加工を対象とした事例です.カシメ加工の金型の制御因子である寸法は交互作用が強く,従来は職人的な感と経験で寸法を決めていました.水準幅を広く設定する通常のパラメータ設計では交互作用の影響を強く受けてしまい,最適条件を正しく見出すことが難しいので,本事例では水準幅を狭く設定し,交互作用の影響を抑制しながら逐次的に複数回のCAEの直交表実験を行い,確実に最適条件を求めるアプローチを採用しています.これによって,ほしい特性である軸力を維持しながら内輪膨張量を33%低減する効果を得ています.ここで,目的機能の出力yを軸力,入力Mをカシメ荷重としています.
ここまでが従来の品質工学の典型的なアプローチであり,現行機種の改善を目的とした活動と言えます.本事例で特筆すべきところは,次世代以降の機種にも対応するために逐次パラメータ設計の実施と同時並行で様々な中間特性をCAEから取得し,CS-T法を実施したことです.パラメータ設計と同時にCS-T法を実施することによって,目的機能と因果関係のある中間特性を検出し,新たな改善メカニズムを見出しています.そして,新たなカシメ方法を考案して特許出願まで実施しているのです.このアプローチがまさにCS-T法の狙いそのものであり,CAEとCS-T法の親和性の高さを証明してくれた事例です.
この事例はCS-T法の効果を証明してくれただけではなく,CS-T法の新たな可能性も示してくれたと感じました,それについても触れたいと思います.これまで技術蓄積が少ない新しい技術領域を中心にCS-T法の活用を進めてきましたが,カシメ加工のように技術の蓄積が豊富な領域でも有効性が高いことがわかったことです.これは交互作用の影響と関係があると考えられます.交互作用の影響が強い場合,全ての制御因子の水準組み合わせの実験を実施しないと正確に最適条件を求めることはできません.全組み合わせ実験を実施すれば,本事例の逐次パラメータ設計の最適条件を超える条件が存在する可能性が十分にあります.さらに加工方法を大きく変更するなどのシステム変更を実施すると最適条件が異なってくる可能性もあります.
このような交互作用が強いシステムでは長期間にわたる技術の蓄積があったとしても十分ではない可能性が高いのです.根本的な問題は目的機能と制御因子の因果関係によって技術を蓄積していることにあるのです.目的機能とCAEの中間特性のような現象説明因子の因果関係把握が効果的なブレークスルー実現の原動力なのです.それがCS-T法の第一の狙いなのです.
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784817197115
テーマ名は「カシメハブ軸受けの金型形状の最適化と新たな制御因子の探索」です.自動車の重要保安部品であるホイール軸受けユニットの加工を対象とした事例です.カシメ加工の金型の制御因子である寸法は交互作用が強く,従来は職人的な感と経験で寸法を決めていました.水準幅を広く設定する通常のパラメータ設計では交互作用の影響を強く受けてしまい,最適条件を正しく見出すことが難しいので,本事例では水準幅を狭く設定し,交互作用の影響を抑制しながら逐次的に複数回のCAEの直交表実験を行い,確実に最適条件を求めるアプローチを採用しています.これによって,ほしい特性である軸力を維持しながら内輪膨張量を33%低減する効果を得ています.ここで,目的機能の出力yを軸力,入力Mをカシメ荷重としています.
ここまでが従来の品質工学の典型的なアプローチであり,現行機種の改善を目的とした活動と言えます.本事例で特筆すべきところは,次世代以降の機種にも対応するために逐次パラメータ設計の実施と同時並行で様々な中間特性をCAEから取得し,CS-T法を実施したことです.パラメータ設計と同時にCS-T法を実施することによって,目的機能と因果関係のある中間特性を検出し,新たな改善メカニズムを見出しています.そして,新たなカシメ方法を考案して特許出願まで実施しているのです.このアプローチがまさにCS-T法の狙いそのものであり,CAEとCS-T法の親和性の高さを証明してくれた事例です.
この事例はCS-T法の効果を証明してくれただけではなく,CS-T法の新たな可能性も示してくれたと感じました,それについても触れたいと思います.これまで技術蓄積が少ない新しい技術領域を中心にCS-T法の活用を進めてきましたが,カシメ加工のように技術の蓄積が豊富な領域でも有効性が高いことがわかったことです.これは交互作用の影響と関係があると考えられます.交互作用の影響が強い場合,全ての制御因子の水準組み合わせの実験を実施しないと正確に最適条件を求めることはできません.全組み合わせ実験を実施すれば,本事例の逐次パラメータ設計の最適条件を超える条件が存在する可能性が十分にあります.さらに加工方法を大きく変更するなどのシステム変更を実施すると最適条件が異なってくる可能性もあります.
このような交互作用が強いシステムでは長期間にわたる技術の蓄積があったとしても十分ではない可能性が高いのです.根本的な問題は目的機能と制御因子の因果関係によって技術を蓄積していることにあるのです.目的機能とCAEの中間特性のような現象説明因子の因果関係把握が効果的なブレークスルー実現の原動力なのです.それがCS-T法の第一の狙いなのです.
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784817197115
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