ロバストパラメータ設計と機械学習 その2 技術手段の発想
2023年9月16日 19時18分49秒 (Sat)
前回”その1”では品質工学の目的はシステムの評価であり、機械学習の目的は最適化であることを確認した上で,交互作用への対応力について筆者なりの意見を述べました.今回は取り上げた制御因子の水準を変えても目的特性の目標値を達成できない場合に取り得るアクションの質の違いを考えてみたいと思います.製品設計の前の技術開発段階では既存の制御因子の水準を最適化してもロバスト性と性能を両立できる解を見出すことができないケースがほとんどです.よって,新たな技術手段を発想することが必須となります.この発想の的確性を高めることができる技術情報をいかに獲得するかが重要な視点となります.
品質工学における技術手段の発想方法について簡単に説明します.従来の品質工学の代表技法であるロバストパラメータ設計ではロバスト性と性能の要因効果図からトレードオフ関係などの技術課題を抽出し,課題を解消する新たな技術手段を考案するというプロセスを基本としていました.また,CS-T法を活用したプロセスでは,物性値や分析データなどの中間特性を活用し,最少サンプル数でとロバスト性と性能の改善メカニズムを把握し,新たな技術手段の発想の的確性を向上させます.両者ともPDSA(Plan Do Study Action)のプロセスを基本としています.
品質工学による技術開発(その17)技術開発のPDSAサイクル - ものづくりドットコム (monodukuri.com)
ベイズ最適化などの機械学習系のツールを技術開発の活動全体の中でどのように位置づけることができるのかを考えてみたいと思います.これまで最適化という技術開発活動全体の中の一部の活動の議論が中心でしたが,技術開発プロセスの中に機械学習を位置づけることで品質工学との違いが明らかになってきます.前述したように技術開発段階では既存の制御因子の水準最適化だけではロバスト性と性能の目標を両立確保できるケースはほとんどありません.そこで新たな技術手段を発想するための技術情報が必要となりますが,最適条件というピンポイントの情報は技術手段の発想に役立ちません.目的特性、中間特性、制御因子の3つパートの因果関係をトータルに把握する必要があるのですが,現状の機械学習のツールでは網羅性のある要因解析が難しいのが現状です.数十もの実験を実施しても目標達成できなないケースはあり得るのですが.その時に最適条件という技術情報しか得られなかったとしたら、効果的にPDSAを回すことは困難です.”その1”で述べた区切りのない実験のリスクに加えて,技術手段を発想するための技術情報の獲得が機械学習の課題と言えます.
機械学習と品質工学を融合して両者の相乗効果を得るアプローチが求められます.交互作用の影響が避けられない,あるいは膨大な数の制御因子があり,直交表実験が困難な場合などです.このような場合は直交表実験の一部実施と機械学習を融合して最短実験回数で最適条件を求めて,その後にCS-T法で改善効果のメカニズムを把握する方法も有効です.
【参考文献】
石川泰佑,細川哲夫,松下誠,今岡龍一:「CS-T法の活用による構造体開発最適化方法の提案」,第25回品質工学研究発表大会論文集, RQES2017, (2017),P.238-241
品質工学における技術手段の発想方法について簡単に説明します.従来の品質工学の代表技法であるロバストパラメータ設計ではロバスト性と性能の要因効果図からトレードオフ関係などの技術課題を抽出し,課題を解消する新たな技術手段を考案するというプロセスを基本としていました.また,CS-T法を活用したプロセスでは,物性値や分析データなどの中間特性を活用し,最少サンプル数でとロバスト性と性能の改善メカニズムを把握し,新たな技術手段の発想の的確性を向上させます.両者ともPDSA(Plan Do Study Action)のプロセスを基本としています.
品質工学による技術開発(その17)技術開発のPDSAサイクル - ものづくりドットコム (monodukuri.com)
ベイズ最適化などの機械学習系のツールを技術開発の活動全体の中でどのように位置づけることができるのかを考えてみたいと思います.これまで最適化という技術開発活動全体の中の一部の活動の議論が中心でしたが,技術開発プロセスの中に機械学習を位置づけることで品質工学との違いが明らかになってきます.前述したように技術開発段階では既存の制御因子の水準最適化だけではロバスト性と性能の目標を両立確保できるケースはほとんどありません.そこで新たな技術手段を発想するための技術情報が必要となりますが,最適条件というピンポイントの情報は技術手段の発想に役立ちません.目的特性、中間特性、制御因子の3つパートの因果関係をトータルに把握する必要があるのですが,現状の機械学習のツールでは網羅性のある要因解析が難しいのが現状です.数十もの実験を実施しても目標達成できなないケースはあり得るのですが.その時に最適条件という技術情報しか得られなかったとしたら、効果的にPDSAを回すことは困難です.”その1”で述べた区切りのない実験のリスクに加えて,技術手段を発想するための技術情報の獲得が機械学習の課題と言えます.
機械学習と品質工学を融合して両者の相乗効果を得るアプローチが求められます.交互作用の影響が避けられない,あるいは膨大な数の制御因子があり,直交表実験が困難な場合などです.このような場合は直交表実験の一部実施と機械学習を融合して最短実験回数で最適条件を求めて,その後にCS-T法で改善効果のメカニズムを把握する方法も有効です.
【参考文献】
石川泰佑,細川哲夫,松下誠,今岡龍一:「CS-T法の活用による構造体開発最適化方法の提案」,第25回品質工学研究発表大会論文集, RQES2017, (2017),P.238-241
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